「ああはなりたくない…」若手社員が絶望するダメ管理職の3つの特徴
管理職はその企業を象徴する「モデル」であり、採用活動における重要な「広告媒体」でもあります。しかし、残念ながら日本の管理職には魅力的な人材が乏しいのが現状です。管理職が育たない原因とは何か? 本稿では、魅力的な管理職育成のための5つのポイントを紹介します。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、関野吉記『管理職のチカラ(管理職の力) ~採用も、業績も、人材育成で変わる~』(プレジデント社)の一部を抜粋・編集したものです。 ● 若手社員が会社を辞めた理由トップ3 これまでは多くの中堅・中小企業の重要課題である「採用」について述べてきた。本稿では「管理職の育成」について考えていくが、採用と管理職の育成は密接にかかわっている。 驚くべきことに、日本の若者の約83%が「出世をして管理職になりたいとは思わない」という。これは単に現代の若者が責任を負いたがらないとか、プレッシャーから逃げたがっているといった「若者サイドの問題」ではない。現実の管理職の姿を見て「ああはなりたくない」と思うからこそ、若者は管理職を目指そうと思わないのだ。 とある人材会社の調査によると、若手社員が会社を辞めた理由のトップ3は、以下のようになっている。 1位 上司がビジネスパーソンとして尊敬できなかった。 2位 上司からの理不尽な要求が多かった。 3位 上司から威圧感を感じていた。 部下は、上司が考えている以上に上司をよく見ているのである。 では、就活生はどうだろうか。インターンや採用面接を通して魅力的な管理職に出会えば、当然、あんな上司のもとで働きたいと思う就活生は多いだろう。
● ヨレヨレ面接官に就活生の心はスン… 反対に、出会う管理職が魅力に乏しかったらどうだろうか。せっかくその企業に関心を持ち始めた就活生でも、ヨレヨレのスーツを着たやる気のない管理職が面接官として出てきたら、興味も関心も一瞬で失せてしまい、「こうはなりたくない」と思うだろう。 管理職はその企業を象徴する「モデル」であり、採用活動における重要な「広告媒体」でもあるわけだが、残念ながらわが国の管理職には魅力的な人材が乏しいのが現状なのである。 図7に示すように、内閣官房の「プライム市場時代の新しい企業組織の創出に向けて」という調査(2021年)では、海外の企業の管理職に比べて、わが国の管理職層のマネジメント能力(「部下に説明する能力」や「部下の業務を管理する能力」)が段違いに低いという結果が出ている。 その弊害として、以下のような問題が生じてくることが想像できる。 ・ 若手の教育ができないから若手が育たない ・ (自身の能力が低いために)仕事にやりがいを感じない ・ 会社に誇りを持つことができない ・ 自分の頭で考えて仕事をすることができない しかも、こうした「管理職問題」は、会社側(経営者)も十分に把握していることが、以下の数字からわかるのである。 【管理職育成に課題を抱える企業 94%】 (総務省「人材育成等に関する調査結果概要」) ではなぜ、日本の管理職はマネジメント能力が低いまま放置されているのだろうか? ある調査で、管理職の中で「特に仕事のための学習をしていない」と答えた人の割合をグローバルに比較したところ、日本は断トツに低い数字が出たという。実に日本企業の管理職の半数が、「学習をしていない」と答えているのには驚くほかないだろう。