東京製鉄が船橋に鉄スクラップヤード開設。サテライト最大・月間集荷2万トン目標、来年5~6月から運用開始
東京製鉄(社長・奈良暢明氏)は、千葉県船橋市の船橋中央埠頭に新たな鉄スクラップの集荷拠点「東京湾岸サテライトヤード(SY)」(仮称)を開設する。エンビプロ・ホールディングスグループのNEWSCON(本社・東京都中央区、社長・妙見英樹氏)の協力によるもので、集荷目標は月間約2万トン、在庫能力は最大約1万5千トン。運用開始は2025年5~6月を予定する。津田聰一朗執行役員は「サテライト計画の一環で、当社の考える相場観を関東で示すことは悲願。スクラップディーラーへの選択肢を増やすことで、スクラップの国内循環に寄与できれば」としている。 SY開設は名古屋(名古屋市)、関西(兵庫県尼崎市)に続き3カ所目。東京湾岸SYの面積は6202平方メートルとSYの中で最大。ヘビースクラップを中心に集荷し、検収は同社の検収員が実施する。納入方法や検収条件は宇都宮工場(宇都宮市)に準じる。向け先は田原工場(愛知県田原市)への海送が中心。田原は関東からの海送、地場の陸送と名古屋SYから鉄スクラップを調達しているが、200万トン程度が限度で生産能力の250万トンに対しては不足していた。今回、東京湾岸SYからの海送に加え、関東地区での船積みも従来通り実施し調達量の純増を目指す。加えて、東京湾岸SYから宇都宮への陸送も視野に入れ、より柔軟な購買価格政策の実現も狙う。 同社では長期環境ビジョン「エコビジョン2050」で掲げた2030年の生産量600万トン、50年に1千万トンの実現へ向けSYの開設などにより原料となる鉄スクラップの購入量も着実に増やしている。田原工場に比較的近い名古屋に比べ工場と離れた関西SY開設は集荷に困難を伴うことも予想されたが、〝建値一本勝負〟の購買ながら基本的に荷止めを行わない姿勢も評価され、今年6月の開設から「集荷は非常に好調」。前月も約1万1千トンを集荷している。 関西SYの設置は集荷量の増加に加え、自社での検収により品質も向上。建値を明確に打ち出すことで〝関西SY連動〟のような効果も生じ存在感を発揮している。一方、鉄スクラップの最大の発生地である関東では宇都宮で建値を出しているが、北関東の局地的な面も否めなかった。今回、東京湾岸SY開設により関東での集荷に本腰を入れ、関東地区のディーラーに寄り添いながら従来の「ちゃんと買う」を実践。ディーラーの選択の幅を広げるとともに建値を明示することで関西のような波及効果にも期待する。関東からは〝西送り〟は行っていたものの、東鉄の看板を出しての集荷は初となることから名称の「東京」にはこだわったという。 今後のSY展開は「三つのSYを大事に育てていくことが基軸」とする。名古屋SYでは月間1万3千~4千トンをコンスタントに集荷しているが「やや手狭になっており、拡張を検討していく」。一方、関西SYからは岡山工場(倉敷市)へ海送しており「現状の生産レベルでは回る状態」という。ただ、2倍に敷地を増やせる余地はあり、拡張も視野に入る。北陸や関東の他地域などでも「よい案件があれば検討を進めていく」構えで、今後も積極的に鉄スクラップの購入量拡大を図っていく方針。