開業100年の熊本市電、ドア閉めず走行や脱線などトラブル続き…運転士の非正規化で教育不十分
検証委員会会長の吉田道雄熊本大名誉教授は取材に対し、「長期的な観点で安全教育や意識改革が必要」と指摘する。検証委は最終報告書を年内にまとめ、市側は報告書の内容を踏まえて、上下分離の導入に向けた計画を再検討する方針。
ほかでも…
路面電車を巡っては他の地域でもトラブルは相次いでいる。
長崎市では22年7月、運転士が停止信号の確認を怠るなどし、後続車両と衝突し、乗客2人が負傷した。九州運輸局は運行する長崎電気軌道に改善指示を出したが、今年6月にも追突事故が起きた。また、鹿児島市電では4月、停車中の車両に後続車両が追突する事故が発生。8、10月には脱線事故もあった。
日本大の綱島均特任教授(鉄道工学)は「路面電車の運転士は車に注意しながら運転し、一人で料金の収受や乗客の乗降確認なども行わなければならず、負担が大きい」と指摘。そのうえで「設備の更新、働き方改革にも取り組み、運転士の負担を軽減し、働きやすい環境を作る必要がある」としている。