IATA、24年のSAF生産3倍150万トン 増産へ解決策提案
IATA(国際航空運送協会)は現地時間6月2日、代替航空燃料「SAF(サフ、持続可能な航空燃料)」の今年の年間生産量が前年の3倍にあたる19億リットル(150万トン)に達するとの予測を発表した。一方、全世界が今年必要とする年間航空燃料需要の0.53%にとどまっており、航空業界が掲げる2050年までのCO2(二酸化炭素)排出実質ゼロを実現するためには、各国の政府がSAF普及に向けた政策を講じる必要性があると訴えた。 IATAによると、航空業界が目指す2050年のカーボンニュートラル実現に向けたさまざまな施策のうち、SAFは約65%にあたるという。アラブ首長国連邦のドバイで、IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は「まだ道のりは長いが、指数関数的な増加の方向性が見え始めている」と述べた。 これまでに約140の再生可能燃料プロジェクトが、2030年までにSAFを生産開始すると発表しており、仮にすべてが発表通りに生産が進むと、2030年までに5100万トンに達し、生産能力はほぼ世界の全地域に広がる可能性があるとしている。 国連の専門機関であるICAO(国際民間航空機関)を通じ、各国政府は2030年までにCO2排出量をSAFにより5%削減、2050年までにCO2排出実質ゼロを実現するよう、航空業界に求めている。 SAFの生産拡大に向けて、IATAはいくつかの潜在的な解決策を提案。原料の多様化や、既存製油所の活用などを挙げた。 IATAはドバイで第80回AGM(年次総会) を2日から4日まで開催。世界各国の航空会社や機体メーカーなどの首脳陣が一堂に会し、航空業界の重要な指針が示されるもので、3日に開会式が開かれ、航空業界全体の業績見通しなどが発表される。
Tadayuki YOSHIKAWA