京の銭湯文化、心もホッと…廃業続き営業は90軒
かつて家風呂の少なかった京都の暮らしには、銭湯の文化が根付いている。 【画像】浴室に残るレトロなカラン(京都市下京区で)
老舗の「小町湯」(京都市下京区)はのれんをくぐると、木札のげた箱や番台。浴室ではモザイクタイルで描かれた京都の風景やカランが風情を醸す。 約10種類の風呂やサウナがあり、地元住民だけでなく市内外のファンが足しげく通う。世代に関係なくあいさつを交わし、洗い場を譲り合う銭湯の原風景に出会える。3代目店主の蒔田高明さん(53)は「銭湯は心の悩みもすっと洗い流してくれる」と説明する。
後継者難や設備の老朽化、燃料費の高騰で、銭湯の経営は全国的に厳しい。京都府でも銭湯数はピークだった1963年の595軒から年々減り、昨年時点で120軒に。実際に営業を続けているのは90軒ほどだ。 「風呂の日」(26日)には2年前から、府の業界団体が、京都産のほうじ茶やヒノキを浴槽に浮かべる催しも企画。蒔田さんは「守り継いできた情緒を残しつつ、新しいものを取り入れ、次世代に銭湯文化をつないでいきたい」と語る。