もはや影のドン…安倍晴明の暗躍にSNS震撼、道長の悪の部分を請け負う晴明の役割【光る君へ】
詮子に同情が集まると思いきや…どっちもどっち?
そんなこんなで、イラッとすることが多かったせいか、一条天皇がついに母の詮子に向かって「僕がこんなになったのはあなたのせいだ!」と逆ギレ。これは詮子に反射的に同情したくもなるが、詮子も詮子で、自分の息子を父・兼家(段田安則)をはじめとする貴族たちを動かすための駒とし、しかも厳しく教育していたという、ソフトな毒親ではあった。ある意味そのツケが回ったとも言えるわけで、どちらが悪いか? と聞かれたら「どっちもどっち」という感じがする。 実際SNSでも「『私はすごく可哀そうな人生を送ったのに』みたいなこと言ったら、自分も母の操り人形だった、父に愛されなかった母の慰み者だったと息子に言われるのきつい」「父に奪われた自己決定権を取り戻すために振るった父譲りの政才が、皮肉にも結果的に我が子の自己決定権を奪ってしまった因果」「帝の心が実母から離れるシーンに、兼家の呪縛がここにも続いてるように見えて、藤原家の業を感じてる」などの、重苦しい感想が続いた。
ユースケ・サンタマリアの配役に納得の声続出
このまま彰子の入内作戦失敗か・・・と思われたが、そこで「一帝二后」という奇策を提案したのが、誰であろう安倍晴明だった。実は中宮と皇后が同時に存在するという状況は、道長の兄で定子の父・道隆(井浦新)も、定子を中宮にする際に取った手段。ただこのとき皇后となったのは、先の帝の円融天皇(坂東巳之助)の后なので「一帝」ではない。それを今回は、一人の帝に対して適用しようとするのだから、それをはるかに上回る強引さだ。 確かに今の、まだ心優しいままの道長くんでは考えなさそうな策略。しかしそれが晴明発信とわかった途端、SNSでは「この三郎が一帝ニ后なんて大胆な事する? と思っていたので、晴明案なら納得」「晴明の平安京のフィクサーっぷりよ!」「サンタマリア晴明おそろしいよ~。内裏のみんな掌の上で転がしてるじゃん」「晴明カウンセリング、身体を回復させるように見えて、確実に闇堕ちの方向にしかいかない」などの納得の声があふれた。 ユースケ・サンタマリアが安倍晴明にキャスティングされたとき「思ってたんと違う!」という声があふれた。しかし実際の晴明は、漫画や映画で植え付けられた「呪術を駆使して妖魔と戦う、シュッとした美青年」ではなく、こんな風に陰陽師という立場を利用して、政治を裏から操るという、ちょっと胡散臭くて世俗的なおっさんだったように思えてくる。 道長の「悪」の部分をすべて背負うという役割が、すっかり定着したように思える晴明。ここからどの時点まで、そのフィクサーぶりを発揮してくれるのか? にも注目だ。 ◇ 『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。7月21日放送の第28回『一帝二后』では、道長との子どもを産んだまひろの子育てと、道長が彰子を中宮にして「一帝二后」体制を実現しようとする姿が描かれる。 文/吉永美和子