そういや昔クルマの角に「小旗」をはためかせた黒塗りが走ってたけどアレって何だった?
いまでは見かけることがない社旗を掲げたクルマ
いまから40年前ぐらいだろうか。1980年代の東京では、クルマのバンパーやフェンダーに小旗を取り付けて、はためかせながら走っているクルマをけっこう見かけた。正確な時期はわからないが、バブル崩壊とともにいきなり廃れたイメージがあるが、あれはいったい??? 【写真】天皇陛下のための日産車! 7台だけ作られた日産プリンスロイヤルとは あの旗はいわゆる「社旗」というもので、主に新聞社やテレビ局がチャーターした黒塗りのハイヤーや社用車についていた。 社旗とはその名のとおり、会社のロゴ・マークなどを旗にしたもので、立ち入り規制のある事件現場などに記者が急行するときに、マスコミ関係者であることをアピールするために用いられていたようだ。緊急車両ではないので、法的な優先通行権などは与えられていないが、現場で一般車両と識別する意味合いがあった。 また、オートバイでもフロントフォークにポールを立て、そこに社旗をなびかせて走るプレスライダーたちも活躍していた。彼らは事件現場や、空港などから、新聞社あるいはテレビ局まで、撮影したフィルムを急送したり、原稿その他の報道素材を大急ぎで届ける使命があって、ある意味プロのストリートライダーとして、一目置かれていた存在でもあった。競馬新聞のライダーなども、現場への到着の速さが、新聞の売り上げを左右していたので、各社腕っこきのライダーを揃えていた記憶がある。 もちろん、いまでも事件があれば記者は取材に行くし、プレスライダーだって存在しているが、クルマやバイクに社旗を立てて移動する風習はなくなった。法的特権があるわけでもないし、なんだか威圧的だし、マスコミとして目立ちたくない場面も増えてきたし、何より経費節減などの影響もあって、旗を立てる文化は自然消滅してしまったのが現状だ。 当今、乗用車に取り付ける小旗というと、天皇皇后の専用車両=御料自動車に、天皇が乗車する際、ボンネット先頭に掲げる天皇旗ぐらいしか見る機会がないのでは……?
藤田竜太