タカラトミー「出産育児祝い金」を200万円支給!少子化対策へ大盤振る舞いも課税の対象に?
株式会社タカラトミーは、出産費用や将来に向けた養育費等の補助、支援のため、1子出産につき200万円支給する「出産育児祝い金」を7月から導入することを発表した。 これは、社員の成長と働きがいを重視した人事制度改定の一つだ。支給条件を育児休業を28日以上取得することとし、男性従業員が育児休業を長期間取得しやすい環境を目指しているという。 企業独自の出産祝い金としては破格であるため、SNSで賞賛の声が挙がる一方で、「出産祝い金」と課税関係はどうなっているのだろうか。内山 瑛税理士に聞いた。 ●社会通念上相当なら非課税、そうでないなら課税対象に ーー今回のタカラトミーのように、社員へ高額な「出産祝い金」を支給する場合、税金はかかるのでしょうか? 「所得税法基本通達には、『使用者から役員又は使用人に対し雇用契約等に基づいて支給される結婚、出産等の祝金品は、給与等とする。ただし、その金額が支給を受ける者の地位等に照らし、社会通念上相当と認められるものについては、課税しなくて差し支えない。』とあります。 そのため、社会通念上相当と認められる金額であれば、非課税となり、そうでない場合は給与として課税されることになります」 ーー出産祝い金のほか、結婚祝い金や社内表彰の賞金など、社員へ特別な報酬を支給する場合の、税務上の注意点についてお教えください。 「出産祝い金のほか、結婚祝い金、社内表彰の賞金など、社員へ特別な報酬を支給する場合については、前述のように社会通念上相当と認められるか否かで、非課税になったり給与として課税されるという論点があります。 また、場合によっては『一時所得』や『雑所得』と考えられる場合もありますので、税理士に相談して判断されることをおすすめします」 ●「出産祝い金」が課税の対象となるのは「異次元の少子化対策」を掲げる国としていかがなものか ここまでは内山 瑛税理士による解説だが、それでは社会通念上相当な金額とはいくらなのだろうか。企業が支給する結婚祝い金や出産祝い金は、1万円~5万円程度というケースが多い。 さらに、具体的な出産祝い金の金額を編集部が調べたところ、大手企業ではもう少し高額となるようだ。 タカラトミーは1子出産につき200万円支給されるが、ほかの大手企業では多子世帯に対して手厚い祝い金を支給するケースが目立つ。たとえばソフトバンクでは、第3子出産で100万円、第4子出産で300万円、第5子以降の出産で500万円を支給している。 仮にこうした数百万円単位の出産祝い金が社会通念上相当でないと判断されれば、課税対象となる可能性がある。 少子化問題の解決にはさまざまな課題があるが、そのひとつとして、安心して結婚・出産・子育てをしていくための経済的負担の軽減は欠かせないだろう。国の支援策として児童一人あたり月1万円~の児童手当があるものの、2023年の出生率は過去最低を更新していることから、結婚・出産を後押しする充分な給付とは言い難いといえる(2024年10月から第3子以降には3万円、高校卒業までに拡充)。 であれば、企業が先んじて独自で支給する出産祝い金に、そもそも課税の必要性はあるのだろうか。なお、児童手当ほか、健康保険法に基づき支給される、出産手当金や出産育児一時金は「非課税」として扱われる。 「異次元の少子化対策」を掲げる政府として、企業が支給する結婚祝い金や出産祝い金の課税を優遇するなど、新たな規定は設けられないものだろうか。 【取材協力税理士】 内山 瑛(うちやま・あきら)公認会計士・税理士・行政書士 私たちは「お客様の成長のよきパートナーとなる」ことをモットーに、記帳代行・税務申告にとどまらず、お客様の総合的なサポートをさせていただいております。 「親身に」「誠実に」「迅速に」対応することが会計事務所の責務であるとの信念のもと、お客様の利益のため、精一杯貢献させていただきます。 事務所名 :内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所 事務所URL:http://www.uchi-zeirishi.com
弁護士ドットコムニュース編集部