<春風を待つ―センバツ・宇治山田商>互いに助言、切磋琢磨 タイプ異なる主力3投手 強い信頼関係、力に /三重
宇治山田商は、1月のセンバツ選考委員会で主力3投手の安定感が選考委員から評価された。投手力の高さの背景には、切磋琢磨(せっさたくま)できる互いの関係性がある。【原諒馬】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 投手陣の三本柱は、田中燿太(ようた)(2年)、中村帆高(ほだか)(同)、加古真大(まさひろ)(1年)。加古は練習で村田治樹監督から、「投げる時に力が入っているぞ」と指摘を受けた。自分ではそれまで、あまり自覚していなかった。「安定した投げ方を実現するにはどうすれば良いのか」と悩んだ加古は、チームメートの田中や中村に聞いてみることにした。 投げる時の姿勢などさまざまな指摘を受け、「自分には合わないやり方もあるかもしれないけれど、とりあえずやってみよう」と試行錯誤した。その結果、投球時に力を入れる瞬間を調節することで改善できることが分かった。ボールが手から離れるまで、ずっと力が入っていたが調節することで疲れづらくもなった。 3人にとっては、お互いが助言者だ。学年に関係なく意見を出し合う雰囲気は、宇治山田商の野球部が大切にしてきたことの一つ。部員たちでプレーを確認し合い、改善につなげるための意見交換を村田監督が推奨している。部内の上下関係も重視せず、1年生の加古が、先輩の中村や田中に意見することもある。3人は投球練習中、気になったことがあると話しかける。加古は田中に「変化球を投げる際のボールの握り方を変えた方が良いのではないか」などと自分の意見を伝えてきた。 各投手が、特徴の異なる投球をする。中村は身長186センチ、体重82キロの体を使って力強く投げる。一方、田中は外角と内角にテンポ良く投げ分ける。加古は制球力に定評がある。村田監督は「さまざまな視点からの意見を聞き、吸収してほしい」と期待する。 一方、試合で一回でも長く投げたいと願う投手間では、競争もある。中村にとって他の投手は「ライバルでもある」。昨秋の東海大会で1試合の1回しか登板できず、長く投げられなかったことに「悔しかった」と漏らした。 とはいえ、中村にとっては投手陣の信頼関係の強さが力になっているという。「全国の舞台では強打者ばかりになる。でも宇治山田商はタイプの違う投手がいるので対応できる。チームで勝つという思いは変わらない」と自信を見せた。 〔三重版〕