JAL機長飲酒問題、自主検査を手順通りせず出社 オフィスでアルコール検知
パイロットのステイ先での飲酒を、10月に解禁した矢先に起きた日本航空(JAL/JL、9201)の機長2人による飲酒トラブル。現地時間12月1日に、豪メルボルンの出発が3時間以上遅れた成田行きJL774便(ボーイング787-8型機、2クラス186席仕様、登録記号JA840J)は、機長Aと機長B、副操縦士のパイロット3人1組で乗務していたが、管理職である機長が2人とも飲酒問題に関わっていた。機長Aは体調不良で空港への出社が1時間遅れ、機長Bは本来ホテルを出る前に実施する自主検査を出社後に行っていた。 【写真】JL774便に使用されたE12仕様の787-8 JALによると、機長2人はメルボルンへ11月30日早朝に到着後、昼に飲酒。1泊して翌12月1日に乗務するシフトだった。2人はスパークリングワインを1杯ずつ飲んだ後、ワインをボトルで3本注文してシェアしたが、3本をどの程度飲んだかなどの詳細は調査が続いている。 また、機長Aは体調不良で宿泊先のホテルを出発するのが1時間遅れたが、メルボルン空港のオフィスへ出社後のアルコール検査(本検査)では、アルコールは検出されなかった。一方、機長Bは本来ホテルを出る前に実施すべきアルコールの自主検査を行わず、オフィスへ出社後、ほかの社員が立ち会う形で実施した際にアルコールが検出されたため、未検出となってから本検査でアルコールゼロを確認し、JL774便に機長Aらと乗務した。 自主検査でアルコールが検出された際、誤検知を疑っていたが、帰国後の12月3日から実施している聞き取り調査で、2人の機長は乗務前日の飲酒を認めた。 JALの社内規定では、乗務前のアルコール検査で、アルコールゼロを示す「1リットルあたり0.00mg」を確認後、パイロットを乗務させている。検査に加え、開始12時間前に体内に残るアルコール量を、純アルコール換算で40グラム相当の「4ドリンク」以下に自己制限するよう求めているが、2人はこれを上回っていた可能性がある。 JALによると、2人の詳しい飲酒状況などは調査中で、処分などは今後決めるという。今回の飲酒問題発生により、JALは12月11日からステイ先でのパイロットの飲酒禁止を再開している。
Tadayuki YOSHIKAWA