米小売大手間で熾烈な「配送競争」が勃発。 Amazon を猛追するウォルマート、ターゲット
Amazonに対抗するためにフルフィルメント機能を強化させる小売企業
事実 :ウォルマート(Walmart)は5月16日に決算発表説明会を実施し、フルフィルメントの好調ぶりを発表した。同社は注文の20%が3時間以内に配達され、配達あたりのコストが約40%削減されたことを明らかにした。フルフィルメントの強化により、ウォルマートは依然としてAmazonの主要な競合相手である。 ウォルマートが活用している分野のひとつは自社の小売店舗だ。同社は実店舗を利用することでフルフィルメントを支援し、配送のスピードアップを実現させた。この戦術はターゲット(Target)などほかの小売業者でも使われている。一方でAmazonには実店舗がないため、この戦略を活用することができない。AmazonはこれまでAmazonプライムのサービスを通じて配送スピードの優先順位を決めていたが、競合他社がフルフィルメントのスピードとサービスを強化し続けているため、Amazonはさらに多くの競合他社から市場シェアを奪われることになるかもしれない。 問い :Amazonと比較して競合他社のフルフィルメントのスピードはどれくらいか? 小売企業は将来どこをめざしているのか? リサーチが明らかにした答え :
小売企業らは王者Amazonに追いつけるのか?
ウォルマートとターゲット(Target)は、オンライン大手Amazonの広範囲にわたる即日配送ネットワークとメンバーシッププログラムに追いつくため、主にフルフィルメントや配送インフラの強化競争に力を入れている。ラストワンマイルの配送コストを削減するための両社の計画には、(顧客が車に乗ったまま、店舗で商品が受け取ることができる)ドライブアップや地方への即日配送など、オンライン注文のフルフィルメント・ハブとして機能するより多くのマイクロフルフィルメントセンターや大型店舗を増やすことが含まれる。 地方への配送を支援するために、ターゲットは1億ドル(約157億円)を投資して自社店舗の近くに「仕分けセンター(sortation centers)」と呼ばれるより大規模なサプライチェーンハブのネットワークを構築した。これにより、店舗スタッフが梱包する注文商品の仕分け、バッチ処理やルート指定が可能になった。店舗周辺に仕分けセンターを増やすことで、ターゲットはさらに多くの商品を即日配送できる。2026年1月までに同社はこのような施設を15カ所に設置する予定だ。ターゲットのエグゼクティブたちは、店舗ベースのフルフィルメントモデルが在庫とサプライチェーン機能を向上させ、ドライブアップや店舗販売、オンライン注文などオムニチャネルのあらゆる需要に対応できると考えている。 ドラッグストア分野においてはウォルグリーン(Walgreens)とCVSが、自社の薬局事業をサポートするためにAIを活用したフルフィルメントセンターを増設してフルフィルメントを自動化させた。ウォルグリーンは正確な需要予測を可能にするためにAIを導入し、フルフィルメントセンターのネットワークを最大限に活用している。また在庫を管理し、作業負荷を軽減するためにサービスを一元化させた。2021年に同社は、2022年までに完全に自動化されたマイクロフルフィルメントセンターを11カ所設置する計画を発表した。これまでのところ9カ所が開設されているが、現在は一歩引いてこの戦略のメリットを再評価しているところである。 [原文:Research Briefing: Amazon faces increased delivery competition] Li Lu(翻訳:ぬえよしこ、編集:都築成果)
編集部