「成瀬は天下を取りにいく」漫画版 原作者宮島未奈さん「小説とは違う楽しみを」
大津市が舞台の小説が原作の「成瀬は天下を取りにいく」コミック版第1巻が12月9日、新潮社から刊行され、原作者の宮島未奈さんが漫画化についての感想を語った。(びわ湖大津経済新聞) 【写真】「成瀬は天下を取りにいく」コミカライズ版(左)と原作の小説(右) 「成瀬は天下を取りにいく」コミック版第1巻には、中学2年の主人公「成瀬あかり」が撤退する百貨店の閉店まで毎日、地元ニュース中継に映り込もうとする「ありがとう西武大津店」と成瀬が幼なじみの島崎みゆきと共にM-1グランプリに挑戦する「膳所から来ました」を収録する。 コミック版は5月からウェブ漫画サイト「コミックバンチKai」で連載開始。ネーム構成はさかなこうじさん、作画は小畠泪さんが担当した、 宮島さんは「漫画化について、ネームなども見せてもらったが、違和感もなかったのでほとんど口出しをすることもなかった。小説が自分の子どもだとしたら、漫画は親戚の子のような感覚。原作の世界観も損なわれていなかったのでありがたい。漫画は多くの人に胸を張って読んでもらいたい作品になった」と話す。「漫画で興味を持った人が小説を手にしてくれる相乗効果があると思う」と期待する。 ネーム構成を担当したさかなさんは「漫画にするときには原作にない場面も補って描く。私のオリジナルになってしまわないように、原作を読み込んで、解釈があっているかどうか悩みながら慎重に進めた。小説を読んだ人のイメージと違うのは避けられない部分があるが、核となるイメージをできる限りくみ取って差を埋められるようにしたい」と話す。 「成瀬のキャラクターデザインは小説の表紙のイラストから離れすぎないことを意識した」と話す作画担当の小畠さんは滋賀県在住だが、出版社側は知らずにオファーしたという。小畠さんは「運命を感じた」と笑顔を見せる。宮島さんは「特に大阪駅の描写が気に入っている。滋賀の人の大阪の描き方になっている。滋賀の人の実感が反映されている」と評価する。小畠さんは「実際に大阪駅の写真を撮影に行った時に道に迷って、迷った通りに写真を撮影して資料にした」と話した。 宮島さんは「漫画には小説と違う楽しみがある。成瀬に触れたことがない人にも薦めたい」と話す。
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