濃厚アイスは冬売れる ハロウィン定着も追い風に
ここ数年アイスクリームが売れています。販売金額は2年連続で過去最高を更新し、今年度も好調を維持。売り上げの中心はやはり夏場ですが、秋から年末年始のイベントが多い季節を意識して、この時期に新商品を投入するメーカーも増えており、ハーゲンダッツジャパンは「一年で最も売れるのは12月」という声も聞かれます。10月末のハロウィン定着も追い風になっており、「秋・冬アイス」はもはや意外な言葉ではなくなりつつあるようです。
市場は2年連続で過去最高更新
日本アイスクリーム協会(東京)によると、2014年度の国内のアイス・氷菓の市場は4369億円と2年連続で過去最高を更新しました。今年度もお盆前までの暑さで8月までは好調を維持しており、台風による豪雨など天候不順の懸念はあるものの、昨年度並みのペースは続いているといいます。 実はアイス類の売り上げは1994年度にピークを迎えて以後、景気後退の影響もあって10年近くにわたり低迷、この時期に自然淘汰された中小メーカーも少なくありません。一方で、「苦しい時期を乗り越えた商品は個性派が多い。また各メーカーが自社の強みのある商品に開発を集中し、品質のよい商品を多く出したことが回復結果につながっている」(アイス協会)といい、最中のパリパリ感を追求した森永製菓の「チョコモナカジャンボ」や、さまざまな新味を提供する赤城乳業の「ガリガリ君」などはその好例といいます。
秋冬は「濃厚系」に各社注力
もともとアイス類は6月から9月の売り上げが主体で、ここ10年間の月別売り上げを見ても6~9月の4か月間で年間の半分強の売上高があり、これ以外の時期の売り上げ増が業界の課題でした。秋冬を意識した商品ではロッテが1981年に発売した「雪見だいふく」が定番商品でしたが、各メーカーは清涼感の求められる夏場と比べ、秋・冬は暖かい部屋でゆっくり食べる「濃厚(リッチ)系」が求められると判断し、これからの時期は氷菓系より濃厚系が店頭に並ぶといいます。 ハーゲンダッツでは9月中旬からかぼちゃの風味を楽しめる「パンプキン」味を投入したほか、スプーンなどが不要なクリスピーサンドにも「マロングラッセ」を加えるなど期間限定商品に力を入れています。「秋から年末年始にかけては行事が多い時期で、手土産として選ばれることが多い。特に12月は一年で最も売り上げる。ハロウィンが定着したのも大きい」(同社)と話しています。