大同特殊鋼・日本高周波鋼業は利益下方修正…特殊鋼6社、通期見通しの全容
特殊鋼6社の2025年3月期連結業績予想は4社が増収、3社が営業増益を見込む。販売価格や固定費などのコスト改善が進展し、収益に寄与する。一方、認証不正問題のあった自動車や建設・産業機械向けの需要が振るわず、厳しい事業環境が続く見通し。大同特殊鋼と日本高周波鋼業は、売上高と各利益段階を下方修正した。 愛知製鋼は販売価格の改善が寄与し、各利益段階を上方修正した。後藤尚英社長は販価の改善に加え「上期(4―9月)に全社を挙げた聖域のないコスト低減を実施し、成果を出せた」と振り返る。売上高は販売数量の減少を想定するものの販価改善を折り込み、過去最高の更新を見込む。 三菱製鋼は売上高を下方修正した一方、各利益段階を上方修正した。特殊鋼鋼材やバネ事業の需要減や原料市況下落の影響を受けるが、販価、コスト改善が収益に貢献。マージン(利ざや)の改善活動が想定以上に進展する。 大同特殊鋼は売上収益と各利益段階を下方修正した。自動車や半導体向けの伸び悩みが主な要因。清水哲也社長は「想定以上に中国での自動車メーカーの販売が不振だった。半導体はシリコンサイクルに乗っておらず、需要に力強さがない」と指摘する。 日本高周波鋼業も売上高と各利益段階を下方修正した。下期(10―25年3月)は計画通りに推移する見通しだが、品種構成の悪化などに伴う上期の減益分を補うのが難しいと判断した。