イラン、高濃縮ウランの貯蔵停止を無条件で誓約-IAEA事務局長
(ブルームバーグ): イランが核兵器級に近い濃度の濃縮ウラン貯蔵を停止するのは、無条件の誓約であり、同国からのこうした提示は初めてのものだと国際原子力機関(IAEA)が明らかにした。
IAEAのグロッシ事務局長は20日の記者会見で、イラン側が濃縮ウランの生産停止に必要な措置を講じたことはIAEAの査察官によって検証済みだと述べた。長年にわたって対立した双方の関係に、改善への道筋が見えてきた可能性があるという。
「イランは方向を転換した」とグロッシ事務局長。「同国が『了解だ。停止しよう』と言ってきたのはこれが初めてだ」と述べた。
イランの行動は、ペゼシュキアン大統領がトランプ次期米大統領に差し出した和解の象徴と解釈されている。トランプ氏は前の大統領任期中、イランに「最大限の圧力」をかけると言明するなど極めて攻撃的な姿勢を取り、同国の核開発を制限する国際合意から離脱したほか、厳しい経済制裁を科した。こうした強硬策は同時にイランの原子力活動に関する透明性低下につながった。
IAEA査察団は19日、12ページに及ぶ報告書を発表。この中でイスラエルが攻撃対象として警告するフォルドウのウラン濃縮施設に触れ、高性能遠心分離機へのウラン投入が停止されていることを確認したと指摘。ペゼシュキアン大統領は先週、グロッシIAEA事務局長との会談後、「わが国の平和的な核活動に関するあいまいさや疑念」を解消したいと述べたと、国営イラン通信(IRNA)が報じた。
原題:Iran Vow to Cap Enriched Uranium Stock Unconditional, IAEA Says(抜粋)
--取材協力:Dan Williams.
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Jonathan Tirone