Apple Original Films『ウルフズ』はブラピとクルーニーのワチャワチャ感が面白い!
現在のハリウッドで、共演に期待値が上がるスターの組み合わせは何パターンかあるだろう。その中でも最高ランクを決めるとしたら、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットではないか。2人の16年ぶりの共演となるのが、『ウルフズ』。その役どころも彼らにぴったりなのが、ファンにはうれしい! ジョージとブラピの過去の共演といえば、2001年から2007年までの『オーシャンズ』シリーズが有名。その後、2008年のコーエン兄弟監督の『バーン・アフター・リーディング』でも共演しており、『ウルフズ』はそれ以来のタッグとなる。今回2人が演じたのは、ベテランの“フィクサー”。世の中に知られてはいけない事件や事故を、すべてなかったことにする裏社会のプロフェッショナル。しかも単独で処理することから、一匹狼=ウルフというイメージだ。そんな彼らが、ある現場で鉢合わせしてしまう。ニューヨークの高級ホテルのスイートルームで、ある著名人がスキャンダル的な事件に巻き込まれ、すぐさま処理が必要だったことから、2人が別ルートで呼ばれたのだ。いわゆるダブルブッキング。両者にとっても予想外の事態によって、危険な一夜がスタートすることに……。 ジョージは63歳で、ブラピが60歳。しかし現役バリバリのフィクサーを演じるうえで、2人のクールさ、カッコよさは異常レベル。要所ではカーアクションや銃撃で冴えまくった動きも披露する。そして黒いファッションに身を包んだ彼らは、夜のニューヨークの風景にしっくり溶け込む。一方で年齢に関する自虐ネタも盛り込まれるし、とにかく相手にマウントを取ろうとする会話は、彼らの素顔も重なっているようで微笑ましい。マウントの取り合いが、運命を大きく左右したりもするので、クライムアクションといいながら、やはり本作はジョージとブラピの“絡み”が最大の見どころだろう。緊迫感やスリルというより、肩の力を抜いて観られるという意味で、これは王道のスター映画なのだ。監督は、トム・ホランドの『スパイダーマン』シリーズを3本手がけたジョン・ワッツだが、明らかにジョージとブラピの魅力を前面に押し出す演出を試みている。早くも続編の製作が決まった『ウルフズ』なので、その名コンビぶりを是非チェックしてみてほしい! 『ウルフズ』9月27日アップルTV+配信 製作・監督・脚本/ジョン・ワッツ 出演/ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、エイミー・ライアン、オースティン・エイブラムス 配信/アップルTV+
文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito