長野で「スキー教育研修」本格誘致へ 北京から視察団
THE PAGE
2022年冬季五輪開催都市・北京がスキーの普及と指導体制整備のため長野県への「スキー教育旅行」の検討を始めました。対象は北京の小中学生で、併せて教員などの指導力や技術力アップも目指します。長野県内のスキー場を視察した北京の教育関係者らが2月23日、長野県庁で県関係者らと初めて協議。「長野は期待以上の環境」と高評価の北京側は来シーズンからの実施に意欲的で、今後両者が具体策の検討に入ります。
志賀、白馬など見て回る
長野県は昨年12月、中国国営インターネットニュースサイト「人民網」(じんみんもう)と観光や一般の交流事業などで協力する覚書を締結。この中で特に北京冬季五輪に向けスキー市場が拡大しつつある中国の青少年のスキー教育に共同で取り組む方針を示していました。 北京から長野を訪れたのは、北京教育新聞宣伝協会活動部長の丁柏明(ていはくめい)氏ら北京市教育局や、教育関係者5人と海外教育旅行を扱う旅行社の3人の一行8人。21日から3日間にわたり県内のタングラムスキーサーカス、志賀高原スキー場、白馬のスキー場やジャンプ競技場を詳細に調べ、実際にスキーも体験しました。
この日の協議は長野県側から吉澤猛観光部長はじめ県観光機構、長野県スキー連盟役員らが出席。長野県のスキー環境の評価と、スキー教育旅行を実施する際の条件などについて基本的な考えを双方が示しました。 丁柏明氏は冒頭、「今回の視察には北京の主要な教育機関、学校の責任者などが参加した。北京はそんなに雪は多くないが、長野県のスキー場は雪質も景色も良く、期待以上だった。設備も良く完璧な管理に感心した。青少年のトレーニングにはとても向いていると強く感じた」と長野のスキー場を高く評価。「北京に帰ったら、教育関係者らに精いっぱい宣伝したい。長野県と手を取り合ってスキー教育を頑張りたい」と強調しました。
早ければ来冬から受け入れへ
他の関係者も同様の感想で、スキー教育旅行の実務的な協議を関係部署間で始める方針を確認。早ければ来シーズンから長野県で受け入れる方向になりました。 中国側はスキー教育旅行の内容について、スキーの練習やそのほかの場面でも日本の児童らとの交流を希望。日程についてはスキー連盟などが「スキー場への滞在は1日だけでは成果が上がりにくいから2日は欲しい」と説明しました。 課題となったのは、北京から訪れる児童・生徒の安全対策と食事。中国側は「特に子どもたちの安全が求められる」と事故やけががないよう万全の態勢を要請。県側は「インストラクターはその点もしっかり勉強している」と説明しました。 県側の関係者によると中国の一人っ子政策が長く続いたため、1人しかいない子供のけがや事故に家族は極めて敏感になっており、日本とは事情が異なります。 食事では「日本食は冷たいものが出ることもあるが、中国では通常、加熱した熱いものを食べるので配慮してもらえるだろうか」と質問。旅行計画が具体化したところで宿泊施設などと相談することにしました。