トランプ氏の暗号資産事業、販売低迷で資金調達目標を90%削減
ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の暗号資産(仮想通貨)事業ワールド・リバティ・フィナンシャル(World Liberty Financial)は、WLFIトークンの販売状況が当初の目標を大幅に下回ったことを受けて、資金調達目標を削減した。規制当局への提出書類で明らかになった。 同社は現在、投資家から最大3000万ドル(約45億円、1ドル150円換算)を調達する計画であり、これは当初目指していた3億ドル(約450億円)から90%の削減となる。10月30日付の米証券取引委員会(SEC)への提出書類では、ワールド・リバティ・フィナンシャルは3000万ドルに達した時点でWLFIの販売を「終了する」計画だとされている。 この変更により、来週の選挙に出馬している元大統領トランプ氏が、ワールド・リバティ・フィナンシャルからすぐに大きな収入を得られない可能性が浮上している。 公開文書によると、トランプ氏所有の企業であるDT Marks DEFI LLCは、ワールド・リバティ・フィナンシャルが運営費用をまかなうための3000万ドルの資金を集めた後にのみ、「ネットプロトコル収益」(トークン販売を含む)の75%を受け取ることになっている。 ワールド・リバティ・フィナンシャルは、その半分に達するのにも非常に苦戦している。10月中旬の立ち上げ以来、同社のウォレットには、このプロジェクトのWLFIトークンを購入する投資家から1400万ドル(約21億円)相当の暗号資産しか入金されていない。立ち上げ日にウェブサイトがクラッシュした期間を含む初期の活動の急増後、需要は急落した。 低調な需要は、ワールド・リバティ・フィナンシャルのファンダメンタルズに関して投資家が神経質になっていることが原因かもしれない。ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のリサーチノートで指摘されたように、WLFIトークンには価値を蓄積するメカニズムがない。これはまだ存在しないプロトコルに対するガバナンストークンだ。 10月30日付のSECへの提出書類によると、ワールド・リバティ・フィナンシャルには最大2億8800万ドル(約432億円)相当の販売可能な「譲渡不可能なデジタルトークン」がある。提出書類では、「当社が現在計画しているのは、この募集で最大3000万ドルのトークンを販売した後、販売を終了することのみだ」とされている。 本記事公開時点で、ワールド・リバティ・フィナンシャルのウェブサイトには古い販売目標である3億ドルが掲げられていた。同社は利用可能な200億枚のWLFIトークンのうち、10億枚弱を販売した。同社はそれを15億ドルの評価額で販売した。しかし、販売されたトークンは更なる通知があるまで凍結されたままであり、WLFIを購入した人は誰も二次市場で現金化できない。 トランプ氏の会社であるDT Marks DEFI LLCは、ワールド・リバティ・フィナンシャルの公開販売評価額で3億3000万ドル以上の価値がある225億枚のWLFIトークンを受け取る予定だ。 ワールド・リバティ・フィナンシャルがどのようなものになるのかについてははっきり明らかになっていない。同社のウェブサイトでは、暗号資産の投資機会にアクセスするためのポータルのようなものと説明されている。借入・貸付サービスの立ち上げに関する話もある。デクリプト(Decrypt)は最近、ワールド・リバティ・フィナンシャルがステーブルコインを立ち上げる計画だと報じた。 ワールド・リバティ・フィナンシャルの代表者らは、本記事公開時点でコメント要請にまだ応じていない。 |翻訳・編集:林理南|画像:Danny Nelson/CoinDesk|原文:Trump's Crypto Business Slashes Fundraise Goal by 90% After Lackluster Sales
CoinDesk Japan 編集部