ヘルパーも感心した、食の細い高齢者向けの意外なメニュー
「味変」アイテムでマンネリを避ける
お客様の食が細くなるのは、食事に「飽きる」ことも一因のように思います。 私の所属する訪問介護事業所では、1人のお客様を複数のヘルパーが担当することがほとんどです。月曜日はAヘルパー、火曜日はBヘルパーが伺う、といった形です。理想としては、1人のヘルパーが担当することなのでしょうが、要介護度の高いお客様が多く、毎日、あるいは1日数回サービスを利用されるため、1人で全サービスに入るのはなかなか難しいのです。利用頻度の高い方の場合、ヘルパー4~5人で受け持つのが平均的かなと思います。 このように、日替わりで別のヘルパーがサービスに入るわけですが、食事の用意がある場合、誰が担当になっても「再現性」があるように、メニューがある程度固定されていることが多いものです。「ご飯とみそ汁と冷凍おかず」、「パンとサラダとヨーグルト」…といった具合です。 その中身は少しずつ変わるものの、お客様としては「毎日同じ」。もう飽きて食べたくない…となるのも仕方ありません。これもまた、ヘルパーの悩みどころです。 あるお宅では、ご家族主導で1食分のメニューを決めていました。90代で、やはり咀嚼と嚥下に困難のある方でした。おかゆに豆腐、ゆで卵といった、かまずにラクにのみ込める組み合わせがメニューの定番でした。栄養の面も考えられています。 「この組み合わせ、なるほどだな~」と感嘆したのですが、さらにすごいなと思ったのが、「味変」アイテムをたくさん用意されていたことです。 温めた豆腐にかけられるように、チューブ入りの田楽ソースが何種類かそろえられていました。私も家で試してみましたが、これ、なかなかおいしいのです。保存もきいて助かります。さらには豆腐自体も、卵豆腐やごま豆腐という選択肢もあり、同じ味が続かずにすむようになっていました。おかゆには、のりの佃煮やねり梅などが味変アイテムとして用意されていました。こちらも保存がききます。 様々な工夫の仕方があるものだと思いました。ご本人の好みを知っているご家族だからこそ、食が進むものをピンポイントでご用意できるのだな、と思います。
水沼三佳子