変貌するアメリカの政治報道 保守・リベラル両極への「分極化」進む 上智大学教授・前嶋和弘
保守のティーパーティ運動はフォックス・ニュースチャンネルを中心とする保守派メディアが育て上げたといっても過言ではありません。一方で、リベラル派のウォール街占拠運動は、MSNBCやリベラル派のトークラジオが情勢を好意的に伝え、運動拡大に大きな影響を与えました。このように「メディアの分極化」の進展に伴い、大統領、政党、連邦議会、官僚、利益団体、シンクタンクなどの様々なアクターが少しでも自らにとって有利な報道をするメディア機関を厳選する傾向が見え始めています。 もちろん、客観報道の原則を堅持する報道機関は数多く、「メディアの分極化」がどれだけ進むかは予断できません。ただ、私たち日本人がアメリカのメディアからの情報を得るとき、「どこの情報か」をより注意深くみないといけないような状況に既になっているのは、間違いないと思います。