「日本の政治家を靖国から遠ざけようとしている」井上政典氏 自民・生稲氏の参拝報道問題
世界文化遺産「佐渡島の金山」の朝鮮半島出身者を含む労働者の追悼式に際し、韓国政府は代表の派遣を見送った。参列した生稲晃子外務政務官が令和4年に靖国神社に参拝したと報じられたことで、韓国内で否定的な論調が広がっていた。参拝を報じた共同通信は誤報を認めたが、政務官の過去の靖国参拝まで問題視される状況が浮き彫りになった。保守派の論客として活動する九州歴史観光戦略研究所代表の井上政典氏は、産経新聞の取材に「政務官の参拝すら問題視される状況を食い止めねばならない。首相の参拝はなおさら困難視されてしまう」と危惧する。 【写真】共同通信「生稲氏の靖国参拝報道は誤り」 見間違え、本人に確認せず「深くおわび」 一部マスコミが政治家の靖国参拝を問題視し、それに韓国や中国が反応して外交問題に取り上げるといった従来のパターンが繰り返された。日本の政治家を靖国神社から遠ざける風潮を作り出そうとしている。 幸い、若い世代に靖国参拝する人が増え、鹿児島の知覧特攻平和会館などで自然にこうべを垂れて、感謝する気持ちが根付いてきているようだ。卓球選手の早田ひなさんも「鹿児島の特攻資料館に行きたい。卓球ができているのは当たり前じゃないことを感じたい」と語った。以前の日本人が植え付けられた贖罪(しょくざい)意識のようなものは若い世代にはないのだろう。 逆に今回、韓国は日本の政務官の参拝まで問題視するようになった。首相の参拝はなおさら問題視されることだろう。靖国参拝を公言する自民党の高市早苗元経済安全保障担当相が首相になれば日韓関係が悪化するというイメージを植え付けようとしているのではないか。ここでスルーするのではなく、なぜ日本人が靖国に参拝してはならないのか、きちんと反論する必要がある。 そもそも、中韓が合祀(ごうし)を批判する「A級戦犯」も、日本の主権回復後の国会決議で名誉を回復されている。戦犯で処刑された方のご遺族が、軍人恩給を支給されず、生活に困窮している状況を何とかしなければいけないとの思いで、昭和27年に全会一致で可決に至った経緯がある。国会決議で戦犯はいないとされた。 どの国であっても、国策に殉じられた英霊を追悼するのは当たり前の行為で、もう靖国神社を政争の具にするようなことはやめるべきだ。ただ、韓国や中国は、戦没者への慰霊も「外交カード」として扱い続けるだろう。それに日本のマスコミが〝ご注進〟する必要はない。(聞き手 奥原慎平)