藤式部の上司、藤壺を取り仕切る「宮の宣旨」を演じる小林きな子さんが気になってしょうがない【光る君へ 満喫リポート】宮の宣旨編
ライターI(以下I):前週の当欄で、中宮彰子(演・見上愛)に仕える女房のトップを務める宮の宣旨を演じる小林きな子さんのファンになってしまったことに言及しましたが、調べてみたら、松尾スズキさん率いる大人計画所属の女優さんで、これまでにもかなりいろんなテレビドラマや映画に出ていらして、ああ! あの! ってなりました。何度も何度もお顔を拝見してきたのに、平安時代の装束だとぴんとこなかったという。失礼いたしました。 写真はこちらから→藤式部の上司、藤壺を取り仕切る「宮の宣旨」を演じる小林きな子さんが気になってしょうがない【光る君へ 満喫リポート】宮の宣旨編 編集者A(以下A):『のだめカンタービレ』『人生が楽しくなる幸せの法則』はもとより、話題になったドラマにかなり多く出演されていますよね。今年放送の『大奥』にも出演されています。 I:その小林きな子さんが、番組公式ホームページで展開されている俳優さんたちのよるコメント音声「きみかたり」に登場しました。好き、と思ったらこの「きみかたり」シリーズに登場してくれて、なんと絶妙なタイミングでしょうと舞い上がってしまいました。 A:宮の宣旨、初見の時はなんだか厳しい女房になるのだろうか、という感じでしたが、意外に藤式部(まひろ/演・吉高由里子)に優しい側面もあります。宮の宣旨こと源陟子(みなもとのただこ)は、醍醐天皇のひ孫にあたる人物です。醍醐天皇には36人もの皇子女がいましたが、十男の源高明の娘が道長二妻の源明子(演・瀧内公美)。宮の宣旨は醍醐天皇十一男兼明親王の孫になります。 I:ということは、源明子と宮の宣旨の父親は従兄弟になるんですね。ちなみに、私が宮の宣旨のことを好きになったのは、ちょくちょく中宮彰子の傍らにいて、驚いた顔をして見せたり、にっこりして見せたりして、その様子がなんだかかわいかったからなんですよね。思ったよりも怖くない人だとわかって。それでは、小林きな子さんのお話をどうぞ。 <女房という仕事を、たぶん天職だと思っているのだと思うんですよね。この年齢までここで働いていて、しかも、他の女房さんたちがいいところの出の方が多く、姫様姫様感が抜けていない方が多い中で、その子たちをまとめていくってけっこう大変なことだと思うんですけど、やりがいを感じているんだろうなと思っています。> A:中宮彰子に仕える女房たちは、お姫様気質だということは、まひろが仕える前からちらほらと話題にはなっていました。身分の高い女性が多い中に飛び込んできたまひろについて、やはり身分の高い宮の宣旨はどう思っていたのでしょうか。 <最初は、やはり彰子様のことを一番に考えているから、嫉妬という気持ちではなくて、「良かった! すごい人来たじゃん!」っていう。みんなダメだったけど、自分も含めてみんなダメだったけど、なんか変わり玉のすごい人が来たって思っていて、だんだん、お子さん(敦成親王)が生まれたりして、途中からは、藤式部が1日いないだけでものすごく不安がるというか、彰子様が「早く帰ってきて欲しい」と言うのを聞いた時には、ちょっと複雑な気持ちではありましたね。「たった1日なのに私たちじゃダメなんだ」みたいな。「ほかに代わりはいないんだな」っていうのと、半々くらい。まひろさんに対する尊敬と寂しさと。> I:なるほど、宮の宣旨は藤式部ことまひろのことを尊敬もしているんですね。藤式部は部下といえば部下ですが、そんな部下にもちゃんと敬意を持てる、そんな宮の宣旨がますます好きになりました。 A:第38回では宮の宣旨と藤式部がふたりきりで話す場面があって、宮の宣旨はこれまでに増して存在感がありましたね。そして、ちゃんと部下思いの上司でした。 <たぶん宮の宣旨から見ると、まひろはちょっと不器用で、一生懸命で、なんだろう、猪突猛進というか、一個、となったらこうなっちゃう子なのかなと思っていて、でも、大切な帝、中宮様ではあるけれど、その前に自分と自分の家族が幸せじゃないと、働くのも自分自身の幸せがあって、だからこそ誰を幸せにできる、誰のために心も体も健康で尽くせるんじゃないかなって思っていました。だから、「そんな夢中にならないで、もうちょっと肩の力を抜いた方がいいんじゃない?」って思っていたと思います。> I:宮の宣旨のような組織を大事にしつつ部下思いな上司、憧れますね。 藤式部に怒る清少納言。藤の花が咲き誇る雅な「藤壺の日常」の裏で行なわれる呪詛と壊れる伊周。平安のリアルが恐ろしい【光る君へ 満喫リポート】は関連記事から。 ●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。 ●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。 構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり
サライ.jp
【関連記事】
- 藤式部に怒る清少納言。藤の花が咲き誇る雅な「藤壺の日常」の裏で行なわれる呪詛と壊れる伊周。平安のリアルが恐ろしい【光る君へ 満喫リポート】
- 一条天皇、中宮彰子の後宮を賑わせた、紫式部「日本紀の局」問題【光る君へ 満喫リポート】日本紀の局編
- 『紫式部日記』から『光る君へ』。道長との関係を忠告される藤式部、晴れやかで艶やかな冊子作りと大晦日の引き剥ぎ事件【光る君へ 満喫リポート】
- 藤式部と中宮彰子の関係。道長プロデュースの『紫式部日記』。仮名で記録した歴史は面白い?【光る君へ 満喫リポート】『紫式部日記』編
- アウェー感充満、まひろの藤壺出仕が始まる。ところで藤壺ってなんのこと?【光る君へ 満喫リポート】まひろ出仕編