家族になったボクとおばちゃん 歳月の記録…13年「恩返しがしたい」 【東日本大震災13年の“あれから”】
■震災で重なった2人の人生
2016年3月、佳祐くんは小学校で門出の日を迎えました。手渡された卒業証書。ひとりで生きていこうとしていた玲子さん。ひとりぼっちになった佳祐くん。あの震災で2人の人生が重なりました。 それから4か月後。佳祐くんが中学1年生になった夏に、家の解体が始まりました。 佳祐くん(当時12歳) 「おばちゃん、今さ解体してる家。その中に柱、あれってさ持って帰れんの?」 玲子さん 「柱? 言えば持って帰れるよ」 亡くなった4人に見せられなかった成長の軌跡が、その柱には刻まれていました。 いつも可愛がってくれたおばあちゃん。働く姿が格好良かったお父さん。優しい笑顔で包んでくれたお母さん。ケンカもしたけどよく面倒を見てくれたお姉ちゃん。 そして、柱はおばちゃんとの暮らしも見てきました。
■10年以上「本当にありがとうございました」
2020年、佳祐くんは高校では演劇部に入部。将来のことも考えるようになっていました。 佳祐くん(当時16歳) 「継ぎたいっちゃ継ぎたいね。何かやっぱ家族が残してくれたのが、それしかなかったから。唯一それしかないから。何もない、家もなくなっちゃったし」 ◇ 2021年1月、家族を亡くし、おばちゃんと暮らしはじめてから、まもなく10年が過ぎようとしていました。 佳祐くん 「おばちゃんとは最初の頃とかはあんまり知らない、お互いあんまり分からなかったから」 「よく喋らなかったけど、今はもうお互いのことよくわかってるし、いつも(そばに)いてくれることが楽しかったなと思う」 「両親亡くなって代わりにおばちゃんが一生懸命育ててくれたから、楽しかったっていうか普通にありがたかったかなって思ってる。家族かなって思ってる」 おいっ子とおばちゃん―――。2人は確かな家族になりました。 高校の卒業式で佳祐くんは、「12年か11年くらい、本当にありがとうございました」と頭を下げた。玲子さんは「まだまだ先長いので、これからもよろしくお願いします。頑張ってください」と声をかけた。