更年期に気をつけたい高血圧、医師が解説するリスク、改善に役立つ食材
更年期の高血圧の改善に役立つ食材
更年期高血圧の改善には、カリウム、マグネシウム、カルシウムを多く含む食材を食事に取り入れましょう。 カリウムは体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、マグネシウムとカルシウムは血管の収縮と弛緩を助ける働きがあります。これらの栄養素はどれかひとつに偏るのではなく、バランスよく摂取することで相乗効果が期待できます。 これら3つの栄養素が含まれていて、とくにカリウムが豊富なのが、秋から冬に旬を迎えるほうれん草です。カリウムは水に溶ける性質があるので、加熱する際は電子レンジを使用したり、茹でる時間を短くしたりしましょう。なお、ほうれん草は結石の原因となるシュウ酸も多く含んでいるため、加熱後には水にさらしてアク抜きをする必要があります。 ほかにも、カリウムとカルシウムが豊富な水菜や、マグネシウムが多く含まれるあさりなどが秋に旬を迎える食材です。高血圧対策として、毎日の食事に取り入れてみてください。
更年期の高血圧には漢方薬も役立つ
エストロゲンの分泌量の減少や自律神経の乱れ以外に、漢方医学では栄養やエネルギーが不足してめぐりが滞り、血流が悪くなることで高血圧が起こると考えます。 そのため、更年期高血圧の改善には、「栄養やエネルギーの不足を補う」「自律神経の乱れを整える」などの働きがある漢方薬を選びます。これらの漢方薬は、頭痛や肩こり、のぼせなど高血圧に伴うさまざまな不調へのアプローチも期待できます。 ◆おすすめの漢方薬 ・七物降下湯(しちもつこうかとう) 加齢に伴って起こりやすい栄養やエネルギーの不足を補い、めぐりをよくして、高血圧に伴うのぼせや肩こり、耳鳴りにもアプローチできる漢方薬です。 ・加味逍遙散(かみしょうようさん) 栄養の巡りをよくすることで、女性ホルモンのバランスや自律神経の乱れに働きかけます。女性ホルモンの変動に伴ってあらわれる更年期症状や、精神不安の改善に用いられます。 ◆漢方薬を始める際の注意点 漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。 ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、いい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。 ◆教えてくれたのは:医師・木村 眞樹子さん きむら・まきこ。医師。都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。 自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。 症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。