クリニック放火事件から3年「加害者も被害者も生まない社会目指す」死亡した院長の妹が再犯減らす活動
■「加害者を憎み続けるほうが苦しい」被害者支援のあり方も学び始めた
「加害者を憎み続けるほうが苦しい」と、自分の人生を生きてきた伸子さん。 その生き方が、誰かの選択肢になればと思い、被害者支援のあり方も学び始めた。 講師:被害者の傷つき、怒り、悲しみを受け止めてほしい。これを受け止めるのは、受け止める方もエネルギーいるし大変なんです。スルーしたくなる時もあるけど、まずここのマイナスの感情を受けてとめてほしい。 ただ、自分が遺族の1人ということは変わらない。 伸子さん:自分のことを説明するときに、“被害者遺族”という言葉をあまり使わないので、遺族としての気持ちを思い起こさなければいけないのがしんどい。 それでも、「できることを続けたい」と言う。 伸子さん:目の前にいる人のために、その時間を集中して考える。それが精一杯であって、それ以上もできないし。3年の間で思えてきたというか、加害者も被害者も生まない社会のために、自分ができることをやるだけかなと思っている。 事件によって変えられた人生。 これ以上、苦しむ人を生まないため、伸子さんは自分の人生を歩んでいく。
■犯罪の背景には「孤立と貧困」 社会全体で取り組むべき問題
「加害者も被害者も生まない社会を目指す」という、伸子さんの一歩について。 大阪大学大学院 安田洋祐教授:大切なお兄さんを亡くして、多くの方が亡くなって、この犯罪を犯してしまった人の再犯を防ぐ、社会復帰を促すっていうのは分かるんですけれども、自分が被害者遺族として、なかなかそういった覚悟を持つの難しかったと思います。だからこそ、この取り組みは本当にすばらしいし、力強いと思います。 再犯者に限らず、孤立と貧困が背景にはあるんじゃないかということでした。今後こういった貧困の問題は、社会全体で取り組んでいかなきゃいけない問題でもあるなと改めて思いました。 京都アニメーション放火殺人事件でも、再犯者が凶悪事件を起こすことが、大きな社会問題になっている。 関西テレビ 神崎博報道デスク:出所した人の住む場所をどう確保するのか、働くところをどう提供するのか、といったことが重要なことになってきます。住む場所については、国が認可している更生保護施設のほかに、民間のNPO団体がやっている自立準備ホームがどんどん拡充している流れがあります。 働く場所については、『協力雇用主』という出所者を受け入れる職場、雇用主を求めて、国が補助金をつけるという形で働く場所を確保しようという動きも拡大しています。 孤立を防ぐ取り組みも重要だということだ。 ただ、この26人の命が奪われたこの犯行は、決して許されるものではない。 (関西テレビ「newsランナー」2024年12月17日放送)
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