クリニック放火事件から3年「加害者も被害者も生まない社会目指す」死亡した院長の妹が再犯減らす活動
■前科を持つ人、依存症から社会復帰を目指す人などが暮らす施設を訪問 話に耳を傾ける
この日、伸子さんが訪れたのは、前科を持つ人や、依存症からの社会復帰を目指す人などが暮らす施設だ。 入所者:奈良マラソンが12月にあるんですけど、そのエントリーも終わって、今だいぶ気持ちも高まってきています。 入所者は過去を抱え、立ち直ろうとしている人ばかり。 そんなところで、ただひたすら話に耳を傾ける。
■「僕自身が変わることが社会に対する償いになる」出所後に悩みを抱える人
はっしーさんは、ギャンブルによる借金返済のため、特殊詐欺の受け子と出し子に手を出し、服役した経験を持つ。 出所した後、被害者にお金を返したくても、返せない現状に悩んできたからこそ、被害者である伸子さんの言葉が心に残っている。 はっしーさん:(伸子さんが)特に強調して言っていたのは、僕自身がちゃんと変わることで、それが社会に対する、償いにもなる。同じことを繰り返さないために、自分がどう変わるのか、そこが大事なのかな。
■「やりたいことに向けて進んでください」伸子さんの手紙が励み
傷害致死などの罪で、何度も服役してきた元暴力団員のがらさん。 若者が道を踏み外さないよう、自分の経験を伝えていくことを目標にしている。 がらさん:お手紙もらったんですよ、これ僕の宝物なんですよ。うれしいですね。最後の『応援しております』というの。 見守っている人がいることを伝えたい。そんな思いで伸子さんが送った手紙。 「やりたいことに向けて進んでください」 がらさんはくじけそうになった時、この手紙を読み返す。 がらさん:今ここで、またお酒飲みたいってなったり、覚醒剤打ちたくなったり、変な道に行ったら、うそになってしまう。うそを語ってたやんってなるの嫌やし、ほんまに励みになっています。 伸子さん:その人が元気になったりとか、これからの人生を考えるきっかけにつながったらうれしいなっていうのは、いつも思いながらお話を聞いています。本当に微力かもしれないけど、でも、できることはそれだし、できる限りっていうか、できる範囲の中で、やるしかない。
■元患者や遺族が集まれる場に…コンサート開催「前に進んでいきたい」
伸子さんは、去年から事件が起こった12月にコンサートも開催。 元患者や遺族が集まれる場になればと願っている。 クリニックの元患者:ずっと考えてたのは、あの3年前の事件のこと。仮に西澤先生に会えるとするなら、自信を持って変わったでしょって、少し自慢げに言えるんじゃないかなと思います。ありがとうございますという言葉も添えて。 伸子さん:この日を迎えるまで、自分の中でもいろんなことを思い出して、急に泣いてしまうことも、やっぱりあるんですよね。でも、そういうこともありで良いと思っていますし、そんな気持ちも持ちながら、前に進んでいきたいと思っています。