文楽人形遣い吉田幸助 祖父の名跡・玉助襲名公演「先代の名を汚さぬ」
国立文楽劇場で7日から30日まで襲名披露
文楽人形遣い吉田幸助 祖父の名跡・玉助襲名公演「先代の名を汚さぬ」 編集:柳曽文隆 聞き手:岡本ゆか THEPAGE大阪
文楽の人形遣い、吉田幸助(52)が祖父の名跡である「吉田玉助」を五代目として襲名。「玉助」の名は53年ぶり復活ということもあり、大阪市中央区の国立文楽劇場で7日から30日まで行われる襲名披露に向け、「先代の名を汚さぬよう頑張ってやっていきます」と力強く抱負を語った。 【拡大写真と動画】53年ぶりに復活 文楽人形遣い吉田幸助さんが五代玉助襲名会見
幼稚園から通った劇場、人形遣いごっこも
1965年に祖父の三代目玉助が亡くなって以来、53年ぶりに文楽を代表する名跡が復活する。四代玉助を亡父、吉田玉幸に追贈し、自身は五代を継ぐ。 祖父、父の影響を受け、小さいころから文楽に親しみを持って育った。「たまたまこういう家でしたから。ただ世襲制でもないですし、私の兄は文楽に見向きもしなかった。私は、小さいころから興味を持ったんです」。幼稚園に通っていたころから、当時、大阪の道頓堀にあった「朝日座」に出入りしては客席で芝居をみていた。 手持ちの玩具を文楽人形に見立てて、人形遣いごっこをしたり、お菓子の箱にゴムをつけて三味線をまねたりして遊ぶなど、自然と文楽に親しんでいた。そして、14歳で研究生となり、中学卒業後、正式に父に入門した。
由緒ある名前、汚してはいけない
幼少のころから通い続けた劇場でも、入門したとなれば感覚は変わる。父の厳しい指導もあった。「最初は舞台の袖で体育座りをしていて、ついうとうとしてしまって、舞台転換する時に、同期の子に引きずるように引っ張ってもらったこともありましたね」と、若いころの思い出を笑顔で語る。 2006年に父が亡くなった後は、人間国宝で文楽を代表する人形遣いの吉田簑助らに教えを受けた。 祖父の名跡を継ぐことについて、「昔は祖父の名前を継がなくてはいけないのかなと安易に考えていました。若いころはこの名跡の重みをわかっていなかったんですね」と話す。 しかし「これは世襲ではなく、人形をちゃんと遣えているとか、中の人たちにちゃんと認めてもらわないと継がせてくれない。今回、簔助師匠には『のびしろがあるから、もっと成長してくれる』ということで免状を頂いたと思ってます」という思いも語った。 名跡を継ぐプレッシャーもある。しかし、「由緒ある名前ではあると思うので、名前を汚してはいけないなというのはすごい感じています」と力強く話す。