「伝統的に強い強豪校」「松坂世代」「羽生世代」…3つの例に見る「環境が最も大事」といえるワケ
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第9回 『「ビジネスは一人ではできない」...マイクロソフトやビートルズが示す「バディ」と「チーム」の必要性』より続く
「環境」の影響は必ず受ける
人は、自分がいる環境の影響から逃げることはできません。これはマイナスの話ではなく、プラスの影響も大きいのです。 たとえば、高校のスポーツを見てみると、伝統校という存在があります。高校野球では甲子園の常連校と言われる高校がいくつもあります。もちろん、特待生制度を活用している、スカウティングしているというケースもあるでしょうが、他にも要因はあります。 実際、特待生制度もない公立高校が伝統的に強いというケースもあるのです。 それが環境要因です。たまたま、素晴らしい才能を持った生徒が入学し、全国大会で好成績を収めることができたとしましょう。するとその生徒が卒業してもそのすぐ下の後輩たちは「全国大会に出る」というイメージができています。常勝組、勝ち方を覚えていると言っていいかもしれません。特別な才能がある選手がいなくても、そこに至る道筋を知っているので、トレーニングもイメージできます。すると、ものすごい成績は収められなくても、そこそこの成績は当たり前に収めるようになってきます。
刺激的な環境を求めて
日本の野球界では「松坂世代」という言葉があります。これは松坂大輔選手という稀有な才能を持った選手と同世代の選手たちを指しています。彼らの世代は、他の世代に対して、好成績を残した人が多いというのです。 これは、松坂選手という稀有な才能が存在したおかげでそれを具体的な目標と認識し、そこに追いつき追い越そうという行動が取れたことが原因だと思われます。私がボストンにいるという縁で、地元球団であるレッドソックスの試合観戦や、直接本人と食事をする機会にも恵まれました。 「風格」は「別格」、一見すると「静」なるエネルギー、でも周囲を「動」(やる気)に変換させる熱量を肌で感じました。 1990年代には将棋界に「羽生世代」という言葉がありました。きっと数年後には「藤井世代」という言葉が存在することでしょう。 人は他者からの刺激から逃れられません。だからこそ、自分にとって良い刺激を受けることができそうな場所を求める。自分にないものを、刺激を与えてくれる人を求めるのでしょう。 『このままだと日本が滅ぶ...起業ランキングで「圧倒的な最下位」を独走する日本の「残念すぎる現状」』へ続く
山川 恭弘