“社会保険料の強引な徴収”相次ぐ? 背景に「担当者が法律を知らない」可能性も…全商連が厚労省・国会議員に状況改善を要請
厚労省「適正な運営行うよう周知」
こうした状況を受け、全商連は27日、国税徴収法に基づいた徴収の徹底や、小規模事業者の資金繰りに配慮した対応などを求める要請書を厚労省へ提出。 要請を受けた厚労省の担当者は「法律に基づき、公正かつ適正な運営を行うよう年金機構に対し周知している」としたうえで、周知の具体的な内容について、以下のように回答した。 「まず1点目は、事業者の経営状況や将来の投資について伺いながら、状況に応じた対応をすること、2点目は、財産状況から見て合理的かつ妥当な金額を、納付金額として設定することです。 さらに、3点目には、計画通りに納付できなかった場合でも、やむを得ない理由があったかを確認するということがあげられます」
「現場が法律から外れた対応」年金事務所への対応要求
上記の回答後に行われた質疑応答で、中山常任理事は「現場では、年金事務所の担当者によって、全く法律とは関係ない、法律から外れた対応が行われている」として、次のように続けた。 「たとえば関連法令と照らし合わせて考えると、社会保険料の滞納額について、最短でも1年は分割で納付できるはずです。 ですが、年金事務所の担当者から『分割は3回まで』と言われたり、『2回で収めるよう』迫られたりした、という相談が寄せられています。 さらに、年金事務所の言い値で分割納付を行うよう誓約書を書かされたケースもあるようです。 『誓約書を出さなければ差し押さえる』と言われれば、事業者側はサインせざるを得ませんが、その誓約書には『履行できなかった場合には差し押さえられても異議を申し立てません』と書かれていたと聞いています。 年金事務所の担当者は事業者に対して、あたかも法的な根拠があるかのように、こうした説明や行為に及んでおり、そこが一番の問題点です。 そして、相談事例を見ていくと、特定の年金事務所の、特定の担当者によってこのような強引な徴収が繰り返し行われているようです。ですから、厚労省から年金機構の本部に周知するだけでなく、問題の対応が行われている年金事務所に直接、改善するよう伝えていく必要があるのではないでしょうか」(中山常任理事) この意見を受け、厚労省の担当者も「言い値で納付金額を設定するといった行為には全く根拠がない。年金機構側には、引き続き適正な運営を求めていく」と回答した。 集会終了後、集まった約40名の参加者は衆参それぞれの議員会館へ移動。厚生労働委員会所属の議員らへ、社会保険制度改善を訴える要請行動が実施された。
弁護士JP編集部