【危惧】自然の宝庫 釧路湿原が“ソーラーパネルの海”に・・・「ヘタをすると絶滅する」地元から困惑の声 なぜ増え続ける?
4月18日、めざまし8が取材したのは北海道・東部に広がる「釧路湿原」。 ディレクター: かなりの数が設置されています。左手にもありますね。道路両脇にソーラーパネルがあります。こちらの場所には80枚ほどのソーラーパネルが設置されています。 【画像】特別天然記念物「タンチョウ」の生息地も危機に 雄大な自然の中に 広がるソーラーパネルが、ここ数年拡大を続け、地元から困惑の声が上がっています。
拡大続くソーラーパネルに地元からも困惑の声
釧路市市民環境部環境保全課 佐々木敦史さん: このような現状に、自治体としては苦慮しているところであります。 釧路自然保護協会 神田房行会長: ソーラーパネルの海になる…。再生可能エネルギーを増やしていくってことについては反対はしていませんけど、ただどこでもいいってわけにはいかないだろうと。 釧路自然保護協会 神田房行会長: この辺の湿原の周り、あるいは湿原の中もメガソーラーだらけになるということで、キタサンショウウオの生息環境が非常に悪くなる。ヘタをすると絶滅するということが心配されますので、野生生物にとって大変なマイナスになるんだということも学んでほしいなと。 そもそも釧路湿原は、世界の湿地を保護する「ラムサール条約」に日本で初めて登録され、その大半は国立公園などに指定されています。 手つかずの広大な自然は、特別天然記念物「タンチョウ」をはじめ、様々な野生動物たちの貴重な生息地です。 今から12年前の2012年には、見渡す限りの緑が広がっていましたが、 それが、2023年にはソーラーパネルとみられるものが100メートル以上に渡って立ち並んでいます。 釧路市内で稼働中もしくは建設が認められている太陽光発電所は、2012年の25カ所から、最新のデータでは577カ所と20倍以上に膨れ上がっています。 一体なぜ、釧路湿原とその周辺で増えているのでしょうか?北海道教育大学釧路校の伊原禎雄教授に話を聞きました。 北海道教育大学釧路校 伊原禎雄教授: 3点あります。1つは土地が安い。やはりその原野が広がっていますので、かなり土地が低価格で購入できます。もう1つがですね、土地が非常に真っ平らですから整備するのもお金がかからない。3つ目が、冬の降雪量が少なくて晴れた日が続いて、いわゆる日照量、これが確保できる。 「土地の安さ」と「平坦さ」に加え、冬でも雪が少なく、年間を通して「日照量が多い」。 これらが太陽光発電に適していて、海外資本の企業も参入しているといいます。 釧路湿原には、自然保護のため建築物などを建てられない特別な地区と、「普通地域」と呼ばれるエリアがあります。 「普通地域」には、法令に基づく手続きをすれば、ソーラーパネルは設置可能だというのです。これについて地元の環境保護団体は…、 釧路自然保護協会 神田房行会長: (率直な思いは)怒りに近いですね。再生可能エネルギーを増やしていくってことについて反対はしてませんけど、天然記念物がある場所とか国立公園だとか、あるいはいい自然が残ってる場所とか、そういったところを何であえてつぶすんだと。 さらに、釧路湿原に近い海沿いでも、同じ情景が広がっていました。 ディレクター: 白糠町の海の近くなんですが、ソーラーパネルが設置されています。 海沿いに設置されたソーラーパネル。これにはある懸念があるといいます。 北海道教育大学釧路校 伊原禎雄教授: ソーラーパネル自体に素材として、重金属とかヒ素が使われている、一部ですけども。 北海道教育大学釧路校 伊原禎雄教授: 特に釧路沿岸というのは千島海溝地震が起こった場合には、波高10m以上の津波が予想されている地域なわけです。そういったところ(ソーラーパネル)に津波が襲ってくると、いわゆる(ヒ素などによる)汚染ですね。こういったものが湿原の方に広がってしまうのではないかと危惧しています。