資生堂が苦戦、株価は年初来安値を更新。売上の25%を占める“中国依存”のリスク
資生堂の文化的貢献とその意義
資生堂は化粧品企業の領域に留まらず、創業以来、企業文化の継承と新たな感性の探求を通じて、社会に美やライフスタイルの価値を発信してきました。 例えば、1919年に創設された資生堂ギャラリーは、現存する日本最古の画廊として、現代美術を中心に幅広いアートを紹介しています。また、静岡県掛川市にある資生堂アートハウスは、同社が蒐集してきた具象絵画や伝統工芸を展示・保存する美術館として活動しており、文化的な遺産を後世に伝える重要な役割を果たしています。さらに、1937年に創刊された企業文化誌『花椿』は、現在でも季刊誌とWEBメディアの2つの形で発信を続けており、現代に生きる人々に向けて美や心豊かに生きるためのヒントを提供しています。 これらの文化活動は、資生堂の経営が安定してこそ継続されるものであり、同社の復活が期待される理由の一つでもあります。 資生堂は、長い歴史を持つ企業(1872年に創業)として、これまで数々の経済的な波を乗り越えてきました。中国市場での課題は依然として厳しいものの、同社の持つ文化的な遺産や、新たな経営戦略が成功すれば、再び輝きを取り戻す日も遠くないかもしれません。 特に資生堂の美術活動は、企業が単なる利益追求ではなく、社会全体に貢献し続ける姿勢を示しています。そのためにも、同社の事業復活は重要であり、文化の継承と新しい価値観を創造し続ける資生堂の奮起に個人的には期待したいと思います。 11月に発表される新たな経営戦略が、その復活のきっかけとなるか注目したいところです。 <文/鈴木林太郎> 【鈴木林太郎】 金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。 米国株投資がメインなので、主に米国経済や米国企業の最新情報のお届けを心掛けています。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数 X(旧ツイッター):@usjp_economist
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