資生堂が苦戦、株価は年初来安値を更新。売上の25%を占める“中国依存”のリスク
地域ごとの売上とパフォーマンス
資生堂の2024年12月期第2四半期決算が8月7日に発表されていますが、決算内容を見ると、売上高は5085億円と前年同期比でわずか2.9%の増加に留まり、収益性の回復にはまだ課題が残っていることが明らかになりました。特に地域ごとの売上や事業のパフォーマンスを見ると、地域差が大きく、依存市場である中国での苦戦が目立ちます。 【日本市場 ― 成長は続くが競争激化の兆し】 日本市場では、経営改革プラン「ミライシフト NIPPON 2025」に基づき、収益性の高いブランドに集中した戦略が功を奏し、売上高は1415億円、前年比13.1%増と好調を維持しています。特に「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ」といったコアブランドが成長をけん引し、新しいファンデ美容液市場での成功も追い風となりました。また、訪日外国人旅行者数が回復し、インバウンド消費も増加傾向にあります。しかし、日本国内では化粧品市場の競争が激化しており、長期的な成長を確保するにはさらなるイノベーションが必要です。 【中国市場 ― 成長鈍化とブランド力の維持が課題ー】 資生堂の売上の約25%を占める中国市場は、依然として重要な収益源ですが、成長の鈍化が見られます。2024年第2四半期の売上高は1317億円で、前年比0.8%増とわずかな伸びに留まりました。現地通貨ベースでは7.6%減と、実質的な成長はむしろ後退している状況です。 特に「SHISEIDO」ブランドは、福島第一原発のALPS処理水放出に伴う日本製品に対する不買運動の影響を受け、売上が大幅に減少しました。この結果、コア営業利益も前年同期比で6億円減の49億円となり、利益面でも大きな課題が残っています。 今後、中国市場での成長を維持するためには、消費者ニーズに即した商品展開とブランド力の強化が求められます。またプロモーション活動だけでなく、持続可能な価値提供を通じて、消費者の信頼を取り戻すことが重要になるでしょう。 【アジアパシフィック事業 ― 順調な成長を示すが課題もあるー】 アジアパシフィック事業はタイを中心に堅調な成長を続け、売上高は344億円、前年比12.3%増と良好な結果を示しました。特に「アネッサ」や「Drunk Elephant」などのブランドが全体の成長をけん引しました。しかし、現地通貨ベースでの増加率は3.3%に留まり、為替の影響を除くと実質的な成長は5.9%にとどまっています。アジア地域全体での経済成長鈍化や市場競争の激化が、今後のリスク要因となり得ます。