ECビジネスの頭痛の種「返品物流」【鈴木敏仁USリポート】
つまり返品は存在するものとして取り組むしかない。必要なことは返品物流の効率化ということになる。
アマゾンは商業施設に返品カウンター設置
おそらく世界で一番EC返品が多い企業はアマゾンだろう。
物流効率化のイロハは、物流線が増えたら中間にハブを作って物流線を減らすことである。アマゾンがコールズ店内に返品カウンターを作り始めたときは、なるほどそういう手があるのかと膝を打ったものだ。ユーザーから宅配によってバラバラと大量にセンターに送られる大量の返品物流線を、コールズ店内の返品カウンターをハブとしていったん返品を集約し、物流線を減らすのである。
アマゾンはこの後、アマゾンフレッシュやホールフーズといった自社店舗、UPSオフィス、UPSアクセスポイント(ドラッグストアのCVSや銀行など)、アマゾンロッカーに返品ハブを加えている。
私がアマゾンゴーに返品アイテムを持ち込んだときに、店内の買い物を対象とした割引きクーポンが発行された。来店客に一品でも買ってもらおうという販促目的に加えて、リアル店舗返品を促す目的もあるのだろうと理解した。宅配を使った直接返品よりもその方が低コストだからである。
また高級ブランドなどの高額品をコピー商品にすり替えて返すような不正返品も、対面だとぐっと減ると言われている。リアル店舗での返品は犯罪抑止にもなるのである。
D2Cブランド企業の返品ニーズにいち早く気づいたのがハッピーリターンである。リターンバーと呼ぶ返品専門カウンターをモール内に設置し、契約している企業の返品商品をここで受け取り、返品専用の大型ハブに送り、ハブ内でソートして契約企業に送る。リターンバーで返品をいったん集めて、次にハブでもう一度集めるという、2つの集約ポイントを作ったのであった。
当初はモールからスタートしたのだが、アルタ、ペットコ、ステープルズ、コストプラス等々の大手チェーンストアと契約してリターンバーを増やしている。