救援物資はこないかも!? 東京都でも推奨される「在宅避難」に必要な備蓄品とは【防災のプロが語る#2】
いつどこで大きな地震が起きてもおかしくないと言われる日本。特に南海トラフ地震と首都直下地震は、今後30年以内に70%~80%の確率で発生すると言われています。 東京都では在宅避難を推奨していますが、在宅で避難生活をするためには、どのような準備をしておけば良いのか? 国際災害レスキューナースとして活動する辻 直美さんにお話を聞きました。 【写真6枚】大人1人あたりが1日に必要な「水の量」を写真で見る。災害用トイレにもおすすめの活用の幅が広いアイテムも!
余裕を持って「1カ月、家の中で過ごせる準備」を
関東から九州の広い範囲で強い揺れが予想される南海トラフ地震と、首都中枢機能への影響も大きいと考えられる首都直下地震。阪神・淡路大震災や東日本大震災とは桁違いの数の人たちが避難所に押し寄せると考えられ、東京都では自宅で居住の継続ができる状況であれば、在宅で避難することが推奨されています。 では在宅で避難生活をするためにはどれくらいの期間を想定して、備蓄をしておけばよいのでしょうか。 災害用の備蓄は「最低3日間、推奨1週間」とよく言われますが、辻さんによると「できれば余裕をもって、1カ月間は家の中で過ごすことのできる準備をしてほしい」とのこと。 「もちろん、その1カ月の間には給水所ができたり、救援物資が届いたりするだろうと思いますが、必要なときに、必要な救援物資が配られるとは限りません。コロナ禍で全世帯にマスクが配布されたときのことを思い出してみてください。地域によって届く時期が異なり、なかなか届かずに不満が続出するエリアもあったはずです。 たった1つのマスクでも、一斉に配布するのは難しいのです。人手もかかります。ましてや地震によって交通網も大きな被害を受けるとなると、救援物資がいつまで経っても届かないことがあると想定し、自分で準備しておくほうが早く、確実です」(以下「」内、辻さん)
水も食料も、防災用を買うよりローリングストックに
家族に合わせた備蓄量の目安を知るひとつの方法として、東京都防災ホームページ「東京備蓄ナビ」があります。家族の構成や年代、性別、ペットの有無などを入力すると、必要な備蓄品と量の目安をリストで見ることができます。 東京都が提供しているサービスですが、内容は全国で使えるもの。ぜひ一度リストをチェックしてみてください。 ただし辻さんは「何がどれくらい必要なのかはそれぞれ。多くの場合、このリストは最低ラインの量です。これに加えて、それぞれの生活に合った備えを」と語ります。 在宅避難でまず重要なのは水の備蓄。断水してから給水所が設けられるまで10日間と考えると、それまでをしのぐには大人1人あたり1日5L、10日間で50Lは保管しておきたいとのこと。 「一般的に1日に必要な水は3Lと言われますが、髪の長さや衛生観念、介護に使う分など人によって必要な水の量は異なりますし、水は調理にも使用します。余裕をもって準備しておきましょう。 私は自宅のさまざまな場所に、分散してペットボトルを保存しています。一箇所に保存すると、万が一その部屋に入れなくなった場合に取り出せなくなるからです」 災害用の保存水である必要はありません。ミネラルウォーターを買って、使った分だけ買い足す“ローリングストック”がおすすめだそう。 「食料も防災食を備蓄するのではなく、日頃から10日分程度をストックしておき、賞味期限の近いものから食べて、その分を補充していくのが良いです」 「カンパンなどの防災食は、1食くらいなら良いですが、食べ続けるとなると気分も沈みがちになります。食材のバリエーションを広くした備蓄をおすすめします」