救援物資はこないかも!? 東京都でも推奨される「在宅避難」に必要な備蓄品とは【防災のプロが語る#2】
子どもと一緒に「災害体験」のイベント化をしよう
食事や衛生面、睡眠などについて「自分が普段から大事にしていること、これがないとつらいというものについては、手厚く準備しておくといい」と辻さん。 「たとえば食事にこだわりがある人は、味変できるように調味料を多めに。音が気になると眠れない人は耳栓を……など、普段から大切にしている生活を守るための準備を。 防災というと“命さえ助かれば”と思いがちですが、実際はそれから長い避難生活が続くのです。すべて平時と同じように、とはいかなくても、自分が優先したい分野については手厚く備えておき、非日常の中でも心豊かに過ごせるように準備しておきたいものです」 ただし自分や家族にとって、災害時に何を優先したいか、どれくらいのものがあれば十分なのかはなかなかわからないものです。そこで辻さんは「月に1回、被災した状況を想定して一晩過ごしてみてほしい」と話します。 「“電気やガスを使わずに、家の中にあるものだけで夕飯をつくってみよう”“寝室に入れなくなったことを想定して、リビングで寝てみよう”など、イベント化して楽しくやってみるのがおすすめです。途中でリタイヤしてしまってもいいんです。“何を用意しておけばうまくいったのだろう?”と考えるきっかけになりますから」 特に子どものいる家庭では「ぜひ子どもと一緒に備蓄品を見直し、トライアンドエラーを重ねてほしい」と辻さん。 「つい大人にとって必要な備蓄品を用意してしまいがちなのですが、被災するのは子どもも一緒です。大人の視点だけで決めず、子どもにも意見を聞いてあげてください。それに何事も楽しんで取り組む子どもたちには“防災リーダー”になる素質があると私は考えています。あるものだけで工夫しよう、と声をかけたら、子どもから意外なアイデアが出てくるかもしれません。 遊びでも、一度被災を想定した体験をしてみるだけで『我が家に必要な備蓄品』の考え方が変わるはずです」