農家の高齢化・後継者不足を助ける新ビジネス『農地マッチング事業』 “農業にチャレンジできる環境を熊本に”
2021年、会社を辞めて、経験のなかった農業の分野で起業。最初は農産物の販売や、農業大学校での学びを通して農家とのネットワークを広げ、今年5月には、全国的にもほとんど前例のない “農地のマッチング” に成功しました。 ■農業はしないって、継ぐ話はない この日、福永さんは地元の証券会社からの紹介で、農地を売りたいという男性を訪ねました。 福永さん「この前ご相談いただいた農地ですが、お子さんも農業はしないのですか?」 農地を売る相談をしている 野田興右さん「(子どもは)もう農業はしない、継ぐ話はない『村に寄付して』と」 直接事情を聞いた後、買い手候補がいることを伝えます。 福永さん「(買い手から)農業したいから引き継げる農地はありませんかという相談があったもので。ちょうど豊野の方にお持ちだったので、いい話になればと」 福永さんは、売り手と買い手の情報が入りやすい地元の証券会社や銀行と業務提携を結んでいます。 福永さん「“生産者目線で常に動く”という経営理念を大事にしているので、生産者のパートナーであるってことを常に感じながら、仕事をさせていただいています」 ■最初は警戒したけれど「違う」と感じた 5月に承継が成立した八代市の農地。元所有者の千代永さんは、高糖度トマト栽培で「地域特産物マイスター」に認定されていて、表彰を受けたこともあるベテラン農家です。農業に誇りを持って生きてきました。 しかし、燃料代や資源の高騰、温暖化など、農業経営が厳しさを増す中、子どもの代まで続けていくのが難しいと判断、売却を決めました。 売り手で元所有者 千代永幸義さん「最初(福永さんに)警戒はあった。しかし、(他の人とは)違うと感じた」 福永さんが紹介した買い手は、熊本市で花を使ったビジネスを手掛ける冠婚葬祭業『(株)ビューティカダンホールディングス』。円安やコロナで海外からの花の調達が困難になり、栽培する農地を探していました。 売り手の千代永さんの条件は、「手放した農地で今後も農業を続けたい」。福永さんは買い手を説得し、承諾を得ました。