農家の高齢化・後継者不足を助ける新ビジネス『農地マッチング事業』 “農業にチャレンジできる環境を熊本に”
熊本放送
農家の高齢化と後継者不足など、農業の担い手不足により増えたのが「耕作放棄地」です。「耕作放棄地」とは、一年以上田んぼや畑に作物を植えられず、今後もその予定がない農地。日本の農地面積は、1961年の608.6万ヘクタールをピークに、2023年は429.7万ヘクタールまで減少。一方、耕作放棄地は42.3万ヘクタールで農地全体の1割まで増えていて、一度耕作放棄地になると再び元の姿に戻るのは難しいとされています。 【画像を見る】農地マッチングの仕組み こうした中、「耕作放棄地にさせない!」と取り組む最前線の現場を取材しました。 ■前例のない “農地のマッチング” 株式会社肥後市場フーズ 福永博之社長「1~2年で畑や田んぼに雑草が生い茂ってしまう。そうなる前に引き継いでくれる人を探そうと」 肥後市場フーズの福永博之さんは「農地承継のサポート業」という新しいビジネスを始めました。 福永さんの会社では、後継者がいない農家や相続した農地の活用に悩む人と、農地を求める企業や個人の「マッチング事業」を展開。不動産の契約や細かな手続きなどアフターサービスに力を入れ、これまでに10件、20ヘクタールほどの農地承継を成立させました。 ■『農地のバトンを次の世代へ』 東京の大手証券会社で働いていた福永さん、転機は熊本地震。益城町の祖母宅が全壊したのです。 福永さん「私の両親、祖母も熊本の益城町に当時住んでいたので、いまだに光景が鮮明に残っているぐらい びっくりして、『いつか熊本で役立つ人間になりたい』と思って上京した時の気持ちを思い出した」 それからというもの、地域の将来のことが心配になったという福永さん。2020年、コロナ禍でリモートワークが始まった時に、退職して農業に関わる仕事を始めたいと思うようになりました。 福永さん「第一次産業、特に農業はもうぶっちぎりで東京に勝っている。生産額、農家の数、農業は面白いのかなと」 熊本は全国でも有数の農業県。農業こそ大都市にはない熊本の価値が隠れていると確信し、農地のバトンを次の世代につなぐ役割を担おうと決意したのです。