女優・南沢奈央が明かした“猫の本棚”状態になってるインスタでの出会いとは? かわいくて深くてあたたかい物語
主人公は、子猫のモー。 ある秋と冬のあいだの真夜中のこと。みんな寝静まっているというのに寝付けないでいたら、窓の外に何やら光るものを見つけた。それは星ではない何かで、「こっちへおいで」と笑っているように見えて、モーは家を抜け出して、暗い森のなかを探しに行く。 冒険の最中に出会う森の動物たち。フクロウ、ヤマガラ、キタリス、アライグマ、カヤネズミ、トナカイ……みんなが準備を手伝ってくれたり、挨拶の仕方を教えてくれたり、ご飯をご馳走してくれたり。一人の冒険だけど、たくさんの仲間たちの協力があって森のなかを進んでいける。 そしてみんなが最後に必ず忠告するのは、森にすむ怖いクマのこと。やがて雨が降ってきたとき、モーは心細くなってクマのことを考えてしまい、怖くて丸まって動けなくなってしまう。そんなときに、冒険のはじまりでフクロウに言われたことを思い出す。 「しっかり、気をつけながら でも怖がりすぎずに進んでいくんじゃ」 このまま丸まっているままではどこにも行けない、と勇気を出して目を開けると、そこにはクマが。でもこのクマ、実は――というお話だ。 笑っている光を探すモーの冒険に勇気をもらいながら、森の仲間たちのやさしさに包まれるのだ。 本を閉じて表紙を眺める。帯にある、日本語訳を担当した芸人で漫画家の矢部太郎さんの言葉に大きくうなずく。 〈1ページ1ページ、額に入れて飾りたいくらい魅力的な絵で描かれる冒険にひき込まれます。〉 閉じても思い出すことのできる、動物たちの豊かな表情や動き。そしてトーベ・ヤンソンがムーミンで描く森を彷彿とさせるような繊細なタッチによって、森の奥行や味わい深さが増す。 あぁ、ほんとうにすてきな作品に出会えた。インスタに投稿してくださったどなたかに、感謝したい。そしてわたしもこのあと投稿する予定だ。今日もまた、SNS上で読書の連鎖が起こる。
新潮社