<プロボクシング>八重樫、心霊騒動を解決して世界戦へ万全
ロマゴン戦のダメージに加えて階級をひとつ下げることによって、1.8キロ余計に落とすことになる減量の壁もあった。フィジカルトレーニングを見ている土居トレーナーも、「いらない脂肪が減ってウエストがきゅっと絞れた。フライ級時代の筋量を落とすことなく脂肪で落とした。パワーは維持できています。階級を下げるデメリットは、減量のストレスくらいで、むしろ体重を落とすことのメリットの方が大きい。僕から言わせれば、ライトフライは適正階級だし、ミニマムだって可能」と減量の不安説を打ち消した。 リミットまで残り4キロ弱で減量も順調に進んでいる。 WBC世界Lフライ級王座を争う同級1位のペドロ・ゲバラ(25歳、メキシコ)は25戦23勝(15KO)1敗1分の戦績を誇る長身のオーソドックススタイルのボクサーファイターである。2012年にはIBF世界ライトフライ級王者、ジョンリル・カシメロに挑戦したが初回のダウンが響き1-2の判定で敗れている。軽快なステップを踏み左のジャブ、ワンツーを基本にリズムよくボクシングを組み立ててくる。ガードが固くステップバックも早いので被弾するケースは少なく、スピードを生かしポイントアウトを重ね、チャンスとみると畳み掛けてくる。メキシカンらしく左ボディやフックも上手い。 八重樫は、「殴りあいも含めていろんなパターンを想定している」と言うが、おそらく下がりながらチャンスを伺うゲバラを追う展開。インサイドにもぐりこんで、3つ、4つと、得意のコンビネーションブローを打ちながら突破口を開きたい。そういう戦法に耐えうるように土居トレーナーも、肉体作りを進めてきた。 「低い姿勢でも疲れないように下半身と体幹を徹底して鍛えた。体幹は、ずっとやっているが、今回、特に意識したのはロマゴンのパンチが、体幹のねじれから生み出されていることに習ったものです」 不安はすべて打ち消した。激闘王、八重樫の3階級制覇に追い風が吹いている。