原発関連株に光、震災事故乗り越え再稼働機運-電力需要の拡大期待も
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九州電力の株価も過去1年で8割以上上昇した。半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の熊本第1工場が2月に開所し、年末までに生産を開始する予定で、既に第2工場の建設も発表している。九州電の場合、既に玄海、川内両原発の計4基が再稼働し、TSMC工場の存在がさらに電力需要を高めるとの見方が株高の背景にある。
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ソフトウエア会社のオラクルやマイクロソフトなど米大手IT企業がこぞって日本でクラウドコンピューティングや人工知能(AI)インフラに関する投資計画を発表したことも電力株の押し上げ要因だ。電力広域的運営推進機関の試算では、データセンターと半導体工場の新増設に伴う需要増を見込み、32年度の産業用電力需要予測を従来から9.8%上方修正している。
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岩井コスモ証券の清水範一アナリストは、生成AIの電力需要が高まると期待される中、脱炭素の観点などからは原子力発電が現実的だと指摘。原発の再稼働も少しずつ進み、「関連部材の需要拡大が期待できる」と述べた。
実際、原発用バルブの岡野バルブ製造の株価が過去1年で64%、TVEが46%それぞれ上昇し、原子炉向け鋳鍛鋼の日本製鋼所は52%高、原発向け断熱工事の明星工業も49%高とTOPIXの上昇率29%を上回る。
東北電力の女川原発2号機、中国電力の島根原発2号機は再稼働が延期されるなど全てが順調に進んでいるわけではないが、岩井コスモ証の清水氏は電力株や原発関連銘柄の先行きは明るいと指摘。生成AIによる押し上げ効果も期待され、「原発の再稼働は息の長いテーマとなりそうだ」と予測した。
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Yasutaka Tamura