【高校サッカー選手権】FW阿部日夏太、2試合連続ハットトリック達成 開志学園JSCが2年連続で決勝進出
11月2日、午後1時半キックオフの第2試合は高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ北信越1部の日本文理と開志学園JSCが対戦した。シーソーゲームとなった試合は延長戦の末、開志学園JSCが4‐3で振り切り、2年連続で決勝進出を決めた。 【フォトギャラリー】開志学園JSC vs 日本文理 【フォトギャラリー】開志学園JSC vs 日本文理 先制は開志学園JSC。前半21分、ロングスローから右サイドMF5柏谷飛侑(2年)のクロスをゴール中央・MF7荻原伶大(3年)が頭で決め、1点目。続く33分、CKから最後はFW9阿部日夏太(3年)が頭で押し込んで、追加点。2-0とし優位に進めた。 負けじと日本文理は後半13分、PKのチャンスで主将のDF5赤阪和輝(3年)が決め1点差に。33分には、後半開始から入ったMF18松原音央(3年)の浮き球のパスをFW10中村瑠(3年)がワントラップから左足で決め、2-2の同点。 追いつかれた開志学園は2分後の35分、FW9阿部がスピードを活かし、カウンター。相手GKが大きくボールを蹴ろうとモーションに入ったそのわずかなスキを逃さなかったFW9阿部がボールを奪い、無人のゴールに叩き込んで追加点。3-2とした。 勝負ありと思われたが、38分、日本文理はロングスローからDF5赤阪、DF3谷合煌祗(3年)とつなぎ、最後はFW10中村が決め3‐3とし、延長戦に持ち込んだ。 前後半同様にオープンな展開となるなか、迎えた延長後半アディショナルタイムの開志学園。カウンターからFW9阿部が相手DFを振り切り、ペナルティエリア内に進入。相手GKに倒されPKを獲得。これをFW9阿部が決め、激闘に終止符を打った。 「壮絶でした。疲れたというのが正直な気持ちです。昨年の準決勝でも劇的な勝ち方でした(上越戦4-3)。選手権という大会は選手たちの力を引き出しますからホントに不思議ですよね。指導者冥利に尽きるじゃないですが、こうした場に遭遇できてよかったです」と開志学園JSC・宮本文博監督。 叩きつけるように降り続く雨。ボールは転がらず、思うように足元につかない。またボールを蹴るたびに水しぶきがあがる最悪なピッチコンディション。こうなると縦へのボールやセットプレーがモノをいう。 開志学園JSCの4得点はCKとロングスローから1点ずつ。長い縦パスからのカウンターで1点。またPKのシーンも縦パスが起点に。この2点ともFW9阿部のスピードが活きた。 「うちの2トップが強いのでシンプルに合わせて、相手の背後を狙いました。徹底できたのが良かったです」(宮本監督) 「練習してきたセットプレーが強みなので、絶対に決められる自信がありました。最初の2点、取れたのはよかったです(主将DF10 松浦朔太郎・3年)」と得点はプラン通り。しかし失点は想定内とはいえ、高さとパワーに勝る日本文理に3失点。それでも競り勝てたのはメンタルの強さがあったからこそ。 「(失点しても)気持ちが沈んじゃだめだと伝えました。そのなか2失点目、同点に追いつかれたときは、よく選手は踏ん張ってくれました。あそこで踏みとどまったのがよかった」(宮本監督) 「(3‐3で追いつかれたとき)2年のときの自分だったらナーバスになって下を向いたと思います。でもキャプテンとして下を向いてはダメなので「顔を上げろ」「時間はまだある」とチームメイトに伝えました。(前後半が終わり、ベンチに引きあがったとき)下を向いている選手はいませんでした。スタメン全員、ベンチ全員もポジティブな声がありました。3年間、やってきたことを信じて、やるしかない、その気持ちでした」(主将MF10中村) メンタルの強さ、そしてチームの成熟度が伝わる。なんといっても選手権予選ここまで4試合で14得点。2試合連続のハットトリックを達成したFW9阿部。フィジカルとスピードを活かした得点シーンは目を引いた。FW9阿部は「毎試合、得点を取ると言っていたので、実際にゴールができてよかったです。後半、追いつかれましたが、自分が得点できればと思っていたので、正直、焦りはありませんでした。何回もチャンスはあったので、仕留め切れれば、逆転できると信じていました」とエースの風格が漂う一言。 このFW9阿部について宮本監督は「常にゴールを狙っている選手。結果を出してくれ、この先もホントに楽しみな選手。よく練習をする選手ですし、サッカーの神様は見ているなという感じです。精神的にブレませんし、次のステージでもやれると思います」と期待を寄せている。 大活躍のFW9阿部は決勝戦に向けて意気揚々。「チームの目標は1試合1試合、成長すること。ホントに成長を実感します。自信をもって、自分らしく決勝に行けるきょうのプレーでした」と胸を張った。 なお決勝戦は新潟明訓とデンカビッグスワンスタジアムで今月10日に行われる予定。前回の選手権決勝で帝京長岡に5-2で敗れた開志学園にとって忘れ物を取りに行く日となる。 (文・写真=佐藤亮太)