睡眠不足!お酒に頼らずぐっすり眠るには?医学博士が解説
眠りにつく能力の低下
お酒を控えたら睡眠が浅くなったというAさんですが、これはどうしてでしょうか? 吉田「これもよくあることです。この方は普段ずっとお酒を飲み続けているということだと思いますが、長期間にわたって睡眠薬に頼っていたら睡眠薬に依存して、睡眠薬なしに眠れなくなります。この作用はアルコールもまったく同じです。 ご相談者の方は、毎晩アルコールの作用で眠りにつくことを繰り返していった。その分だけ、脳が自分の力で眠りにつく能力がだんだん低下してきてしまった。それでアルコールなしでは深い睡眠をとれなくなっています」
90分前にお風呂から出る
深い睡眠に入るにはどうすればいいのでしょうか? 吉田「食事をとったとき、ちょっとアルコールをとるのは結構ですが、寝る前に2時間くらい間をあけることは必要です。それを続けていると眠る力は甦ってきます。 あと、お風呂の入り方は重要です。まず39度から40度くらいのぬるめのお湯にゆっくり時間をかけて入ると、副交感神経が優位になり睡眠状態に移行しやすくなります。 睡眠のために『90分前にお風呂から出る』のがベストです。 お風呂に入ると深部体温が上がります。出た瞬間から徐々に下がり始め、脳の視床下部が脳の温度が下がったことを認識することで睡眠に移行します。だいたいこの時間が90分です」
寝付きをよくするには?
その他にも寝付きをよくする方法があるようです。 吉田「大事なのは朝起きた直後です。脳は夜は睡眠ホルモンのメラトニンの作用で眠っていますが、朝起きて太陽の光が目に入ると、メラトニンから覚醒状態に必要なセロトニンという脳のホルモンに切り替わります。それをやると、その夜に睡眠ホルモンが出やすくなりぐっすり寝ることができます」 どうしても寝られない時はどうすればいいのでしょう? 吉田「寝れないと思うほど、脳が興奮して寝られなくなります。だから何とかして考えないようにすると眠れる。気を逸らせるために何か他のことをしたらいいです。 絶対ダメなのはスマホやパソコンです。おすすめしているのは本を読むことです。ただ本の内容が面白いと興奮しますし、つまらなくてもいらいらします。 睡眠にもっとも望ましいのは一度読んでちょっとだけ面白かった本を読み直すことです。先の展開がわかっているのでワクワクドキドキしませんから。これは眠れないときの過ごし方としてベストです」 (みず)