山の遭難件数は過去最悪 “ヘリの捜索サービス”に密着【WBSクロス】
高尾山での“遭難者”救う
東京都内の高尾山。外国人観光客にも人気の山です。登山する人のザックにくくりつけられていたのが、遭難者捜索サービス「ココヘリ」の小型発信機です。 気軽に登れる山と思われている高尾山。高さは富士山の6分の1ですが、その分準備不足でやってくる登山者も多く、山岳遭難者数(2023年)は富士山の97人に対し高尾山は133人と多いのです。 これを受け、ココヘリは先月、山の安全への意識などを啓蒙する店舗「COCOHELI TAKAO」を高尾山に開きました。登山者は「単独で登山することが多く、家族に心配をかけたくない。そういった意味でココヘリを利用している」と話します。 携帯の電波が届かない山でも使えるココヘリの発信機の利用は急拡大。料金は年間5500円からですが、会員は17万人以上とこの3年で3倍に増えました。39都道府県の警察・消防航空隊が発信をキャッチする受信機を導入しています。 その先に見据えるものについて、ココヘリを運営するオーセンティックジャパンの久我一総社長は「行方不明者をゼロにしたい。山の業界で山のJAFになりたい」と話します。
捜索技術を他業種で活用
命を救う捜索技術を他の事業で生かす動きもあります。静岡県の森の中にスマートフォンを手に歩く人たちがいました。 「これは林道に入ったところ。それで沢を越えて、もう一個沢を越えて今ここの尾根のところ」(森林組合おおいがわの永嶋幹士さん) スマートフォンの画面には「全メンバー共有用」とあります。これは6月に始まったばかりの地図情報の共有サービス「LivMap(リブマップ)」の画面。等高線もわかり、別のチームが既に捜した場所も確認できるため、実際に消防署が山での遭難者の救助で利用しています。 ただ、この現場では林業に活用。青色の線が重機が入れる道で、緑の線がこの日、実際に作業員が歩いた道です。地図上の写真アイコンをタップすると画像が拡大。倒木のおそれのある場所が示されました。 「重機同士のすれ違いの場所とか、そういうのを現地に行って気がつけば、そこで写真を撮って位置情報と写真を共有する」(永嶋さん) 「LivMap」は複数人が広い範囲で作業する業種向きで、運送業などでの活用が期待されています。 LivMapを運営する「はんぽさき」の小林俊仁社長は「(活用できる業種は)土木とか漁業とかいろいろあるが、(LivMapが)使えると思ってもらえるような汎用性を保ちながら、業界を広げていきたい」と話します。 ※ワールドビジネスサテライト