東京・足立区の給食が“おいしい” 地元野菜使用、レシピがベストセラーに
今年、退任することを宣言している大阪市の橋下徹市長は、2011年の市長選のときから教育問題についても盛んに発言をしていました。橋下市長就任後、肝煎りで開始されたのが全市立中学校での給食です。橋下市長の目玉政策でもあった中学校給食でしたが、生徒たちから「冷めていてマズい」と評判はよくありません。8月に実施された大阪市議会を模した子ども市会でも給食について取り上げられ、市長が生徒たちに釈明する一幕もありました。2005年に食育基本法が成立し、教育の場でも食事の重要性は広く認識されるようになりました。そのため、学校給食も行政課題になっています。 バラムツ試食授業、何が悪かったのか
残菜率が高かった足立区
橋下市長が推進する学校給食改革は道半ばですが、いち早く学校給食の改革に乗り出して成功している自治体もあります。それが、東京都足立区です。足立区が学校給食の改善に向けて本格的に動き出したのは、2007年に近藤やよい区長が就任したことがきっかけです。前職の東京都議会議員時代、近藤区長は自分の地元である足立区内の学校給食の残菜率が高いことを気にしていました。 選挙で“食べ残しゼロ”を公約のひとつに掲げた近藤区長は、すぐに給食改革に着手。美味しい給食で食べ残しゼロを目指すとともに栄養バランスのとれた給食の実現を目指しました。 「足立区が掲げる“おいしい給食”とは単に味がよいとか、豪華な食材を使うといったものではありません。自然の恵みを感じるとともに、生産者や調理員など給食に携わる人たちへの感謝の念をはぐくむことに重きを置いています。そのため、足立区では地元のJAと協力して学校給食に地産池消を推進していくとともに、(同区の)伝統野菜である小松菜を使ったメニューを取り入れるなど、食文化を学ぶ機会にもつなげています」(足立区教育委員会学務課おいしい給食担当) 足立区内には区立の小学校が69、中学校が37ありますが、すべての学校給食で自校調理方式を採用しています。そのため、学校ごとにメニューは異なっていますが、それぞれの学校で栄養士と調理員が献立を工夫しています。