ほぼ完全に実用レベルの電動バイク、エネルジカ「EGO+ IVYエディション」に試乗! 通勤もツーリングもイケる!! ※ただし700万円
モーターならではの特性がワインディングで面白い
ワインディングを走り始めると、260kgという車重にやや戸惑った。低重心とはいえ、やはりそれなりの手応えがある。さらに、回生ブレーキが意外と曲者で……。 と、そんなふうに最初は思ったものだったが、慣れるにしたがって自然に乗れるようになる。特に車重は単なる慣れで済んだ。もう少しEGO+ならではの乗り方を工夫する余地があるのは、回生ブレーキのほうだった。ちなみに今回は基本的にスタンダードモードで走行し、回生ブレーキは弱めに設定してある。 ──700万円という価格がバンク角を浅くさせる。筆者のような庶民はそんなもんである。 以下、少しマニアックに語っているので興味がない方は次の見出しまで読み飛ばしてOKである。 まず独特な車体構成から述べていこう。モーターを車体中央に搭載していることから、リヤショックはスイングアーム右側にオフセットマウントされ、リンク機構は持っていない。シートレールに向かって縦方向にマウントされているので挙動は往年の2本サスに近く、荷重があいまいだとリンク式モノショックのように寛容に追従したりはしない。もちろん危険になるようなものではないのだが。 そんなリヤサスペンションと比較的前方に搭載されたバッテリーの重量により、回生ブレーキが働いていると荷重がフロントに寄りがちになる。そのまま車体を寝かそうとすると前のほうに重たいものが残っているような感覚になり、スムーズに寝かせないように感じてしまう。 そんなときにどうするかというと、寝かす手前でスロットルをパーシャルにしてやる。モーターでパーシャルというのも変かもしれないが、スロットルを少しだけひねって回生ブレーキを弱めてやるようなイメージだ。 そうすると車体姿勢が前後フラットになって、スルッと寝かすことができるようになる。フロントに重量物があるのは変わりないがリヤの接地感も途切れないので前後がイーブンに感じられ、安心して車体を傾けることができ、コーナーの出口へと向かっていけるようになる。 エンジン車の場合だったら、ギヤを落としすぎないことでエンジンブレーキを弱めることができる……というか、多くのライダーは自然にそうしていると思うが、ようは同じようなイメージで回生ブレーキをコントロールしてやるわけだ。スロットルレスポンスのフレキシブルさがそれを可能にしている。 そんな意外なマニアックさを持ったEGO+だったが、慣れてくると、変速操作がないことでブレーキ&スロットル操作に集中できるとか、エンジンの振動がないことで路面の接地状況がクリアに伝わってきやすいとか、電動バイクならではの面白さが詰まっていることがわかってくる。 これをサーキットで走らせたらまた面白いだろうなぁ……と夢想せずにはいられなかった。