「18禁・激辛ポテチ」で高校生が病院送りに! 医師も驚愕の“ヤバすぎる成分”とは!?
東京都大田区の都立高校で、市販されている激辛ポテトチップスを食べた高校生14人が病院に搬送されたニュースが話題になりました。激辛ポテトチップスを食べることによるリスクや対処法について、眞鍋医師に解説していただきました。 【イラスト解説】身近に存在する「寿命を縮める食べ物」 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
高校生が病院搬送されたニュースの詳細は?
編集部: 高校生が激辛ポテトチップスを食べて病院搬送されたということですが、詳細について教えてください。 眞鍋先生: 2024年7月16日、東京都大田区の都立六郷工科高校の複数の生徒が、市販されている激辛ポテトチップスを食べて体調不良を訴えました。ポテトチップスを食べた生徒のうち、高校1年生14人が病院に搬送されました。生徒たちは口や胃の痛み、吐き気を訴えたということですが、いずれも軽症だったとのことです。 実際に生徒たちが食べたポテトチップスは、茨城県鉾田市の磯山商事が製造する「18禁カレーチップス」です。2007~2011年まで世界一辛いことでギネス世界記録に登録されたこともある「ブート・ジョロキア」が使用されていました。そのため、磯山商事のHPでは、高血圧や胃腸の弱い人、18歳未満は食べないよう注意を呼びかけていました。 今回の問題を受けて、磯山商事は「お客様はじめ、関係各位に対し多大なるご迷惑をおかけいたし申し訳ございません。搬送された方、ならびに体調不良を訴えられた方の一日でも早い回復をお祈り申し上げます」とコメントしています。
高校生が搬送された原因は? どれくらいの辛さが危険?
編集部: 高校生が激辛ボテトチップスを食べたことで病院搬送されたことが今回のニュースで明らかになりましたが、原因はなんだと考えられますか? また、世の中に辛い食べ物は色々とありますが、どれくらいの辛さが危険なのでしょうか? 眞鍋先生: 辛さを示す指標として「スコヴィル値(SHU)」というものがあります。スコヴィル値は、20世紀初頭に科学者ウィルバー・スコヴィルが「辛さを感じなくなるまでに、水(砂糖水)で何倍に薄めるかを調べる」という、主観に基づいた実験によって作られました。現在では、辛さの成分である「カプサイシン」の量を測定し、その値をスコヴィル値に変換する方法が用いられています。この指標をもとにすると、高校生たちが食べたポテトチップスに含まれるブート・ジョロキアは約100万SHUと報告されており、これはハバネロの約10倍、タバスコの約200倍の辛さです。 カプサイシンが我々の体にどのように働くのかというと、舌や皮膚の表面にある温痛覚の受容体に結合し、灼熱感や痛みを引き起こします。これが舌で適量に感じ取れば辛味として感じるのですが、許容量を超えると痛みとなります。ブート・ジョロキアは刺激が強すぎるため、素手で触れただけでも受容体が刺激され、痛みを感じるそうです。そんなカプサイシンを大量に摂取した場合、消化管粘膜への刺激が強すぎることにより、嘔吐や下痢、さらには吐血や下血を引き起こす可能性があります。今回の生徒たちの口や胃の痛み、吐き気といった症状は、恐らくこれによるものでしょう。さらに、消化管から吸収され血中に入ると、副腎からのアドレナリン分泌を促進します。これにより、動悸や大量の発汗、アドレナリンの精神作用によって気分変調(不安の増大など)をきたした可能性もあります。 辛さの受容器の感覚は個人差が大きく、辛いのが平気な人やダメな人がいるのはそのためです。一概に「この数値から危険」というのは言い難い面がありますが、ドイツの研究所がおこなった研究によると「伝統的な食事における大人の1回の食事あたりの総カプサイシンの摂取量は、最大5mg/kgにした方がいい」と推定されています。