商社が変えるコンビニ。ファミマを実質完全子会社化した伊藤忠は何をしたのか
今、大手総合商社をめぐり「コンビニ」を軸にした興味深い動きが続いている。 業界国内シェア2位のファミリーマートは、2020年の伊藤忠商事による「ファミマの実質完全子会社化」以降、 業績改善を続け、4年を経たいま2024年2月期のファミマにおける事業利益は過去最高となった。 【全画像をみる】商社が変えるコンビニ。ファミマを実質完全子会社化した伊藤忠は何をしたのか 一方、三菱商事の子会社で同3位のローソンも、KDDIが共同経営に乗り出すなど「業界の新風」が意識される状況もある。 総合商社とコンビニ事業の間でいま、どんな変化が起こっているのか。伊藤忠・ファミリーマートに、「コンビニ変革」について聞いた。
商社にとってのコンビニとは
総合商社が手掛けるエネルギーや金属など、規模感の大きなビジネスから見れば、小売であるコンビニは小粒に映る。伊藤忠の場合、2024年3月期のセグメント別の純利益を比較すると、最もボリュームの大きい金属事業で2261億円、次いで機械事業が1316億円。ファミマ事業が属する「第8カンパニー」の純利益は358億円だ。 稼ぎ頭とは言いにくい中、なぜコンビニビジネスに力を注ぐのか。 「消費者に主導権が移行し、消費者接点のビジネスにおける『データ』の重要性が高まっている現在、商流は明らかに過去とは逆向きになっており、まさに『利は川下にあり』と言える状況です。今後、総合商社が形を変えていく中で、商流の川下をいかに押さえるかが課題となります」 伊藤忠のウェブサイトにある「CEOメッセージ」のページには、岡藤正広会長CEOの言葉としてこう記されている。 ファミリーマート事業を所管する第8カンパニー経営企画室長代行の梶谷純氏は、コンビニを重要視する理由について 「確かに国内のコンビニ業界を取り巻く環境は厳しいと言われています。ただ、コンビニは時代に合わせて業態変容することで消費者に受け入れられてきた業種でもある」 と話す。 2020年8月に実質完全子会社化したファミリーマートに対して伊藤忠がやろうとしたことは、事業基盤の強化と「伊藤忠グループの総合力を生かした新しいビジネスモデルの創出」(梶谷氏)だ。