パートナーの反対、結婚への疑問、働き詰めの毎日──産まない女性の「本音」 #性のギモン
「今の平等な関係が、結婚したら壊れてしまいそう」
40歳でシングル、大手企業で働き、子どもはいない鈴井ミレイさん(仮名)と松本アイさん(仮名)は、結婚と出産について本音をこう語る。 「20代の一時期、結婚していたことはありました。でも人生はどんどん長くなっているのに結婚は一人の人と添い遂げるというのはどうなのか。介護や名字や相続など、家族にひもづきすぎています。もしこの結婚制度の縛りがなく、女性が一人で無理なく子どもを育てられる制度が整っていたら、産んでいたかもしれないです」(鈴井さん) 「私は自立して働いてお金を稼いでいるのに、パートナーの男性と一緒にいると、お店の人などは彼に話をします。私はまるで『付属品』みたいに扱われる。今のこの平等な関係が、結婚したら壊れてしまうんじゃないかと思うと、しないほうがいい気がしています」(松本さん) 「結婚」の心理的ハードルが高くなっている。これについて、坂元さんはこう語る。 「例えばスウェーデンでは事実婚がベースです。だから結婚を意識することなく30歳からでも交際できる。一方、日本では20代半ばくらいまでなら交際や異性への興味は、収入のあるなしに関係ない。でも20代半ばを過ぎたくらいから、こうした興味と収入や雇用形態に相関が見られるようになってくる。日本では30歳で交際するなら結婚を意識せざるを得ないし、結婚の意思がないのに交際を継続していると『無責任』と責められる風潮もあります」
必要なのは「休み」。女性だけでなく男性にも
結婚のハードルを越えると、出産や子育てと仕事のハードルがやってくる。 鈴井さんの妹は、結婚して会社を辞めた。 「妊娠したらそれまでと同じように働き続けることができず、パートで就職し直しました。もったいないと思いました。稼げなくなると、社会でも家庭内でも経済的弱者になる。子育てはキャリアとしてカウントされず、キャリアにブランクがあるだけでも扱いは変わります」(鈴井さん) 鈴井さん自身、キャリアにブランクがあることで転職の際、困難を感じた。 「私はフリーランスだった時期があるんですが、就職活動をすると『なんで就職したいんですか?』と必ず聞かれます。『また会社員ができるのか?』という感じで。問われるべきは『何ができるか』のはずなのに。とにかく、フルタイムの正社員で働き続けていないといけないんです」