見惚れつつ笑ってしまう…菜々緒の演技がスゴすぎる。ドラマ『無能の鷹』でみせる稀有な“女優力”の秘密とは? 徹底考察
金曜ナイトドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)が好評放送中。主人公・鷹野ツメ子が、バリキャリの有能そうに見えて実は”無能”であるというそのギャップを、主演の菜々緒が見事に演じている。今回は、原作の面白さを体現して見せた菜々緒の魅力に迫る。(文・望月悠木)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】菜々緒に見惚れつつ笑ってしまう…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『無能の鷹』劇中カット一覧
『無能の鷹』で菜々緒が放つ恐るべき”説得力”
金曜ナイトドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)で主人公・鷹野ツメ子を演じる菜々緒の演技から目が離せない。 本作は、営業部に所属し、一見仕事ができそうな有能オーラをまといながらも、「燃費」を「もえぴ」と読み間違えたり、マウスを使ってパソコンのフォルダを開けなかったりなど、規格外の無能さを発揮する鷹野の働きぶりを描くお仕事ドラマである。 はんざき朝未が手がける原作漫画は、2020年12月「このマンガがすごい!2021」オンナ編で第11位を獲得。2021年には「ebookjapanマンガ大賞」にノミネートするなど以前から注目されている作品だ。 そんな話題作がこの秋に満を持してドラマ化されたが、原作ファンの期待を超える内容と言って良い。原作の面白さを忠実に再現できている理由として、とりわけ菜々緒の演技力・存在感が光っている。
既存の菜々緒像を逆手に取ったキャラ
菜々緒はこれまで『ファースト・クラス』(2014、フジテレビ系)では計算高く腹黒いファッション雑誌の編集部員・川島レミ絵や、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(2021、TBS系)では周囲に媚びない強い意志を持った看護師・蔵前夏梅など、トゲトゲしたキャラを多く演じてきた。 しかし、今回演じる鷹野はクールビューティーではあるが、悪女や強面では一切ない。とはいえ、鷹野も譲れない強い意志を一応持っている。 1話で鷹野は同期の鶸田道人(塩野瑛久)と営業部の部長・朱雀又一郎(高橋克実)が鷹野をクビにしようと話している現場を目撃する。2人は場所を移し、鶸田から「気にならないの?」と聞かれると、鷹野は「私がこの会社を必要としてるから。だから会社に必要とされてるかは考えないようにしてる」と言い切る。 危機感や向上心、朱雀への復讐心を見せることはなく、ひょうひょうと「会社にしがみついていく」という強い意志を表明した。 あまりに堂々としているが、川島レミ絵や蔵前夏梅みたいなツンケンした雰囲気は皆無。これまでの“菜々緒像”を逆手に取ったようなユニークなキャラであり、そのギャップが加わることで、ただでさえ面白い鷹野というキャラがさらに面白くなっている。