断トツ最下位だったコルトレイクを1部残留に導いた藤井陽也。指揮官も「お前はもっと上でやれる」と太鼓判を押す特大のポテンシャル【現地発】
「リーダーシップも求められる。英語をもっと伸ばしていきたい」
藤井がレギュラーシーズン最後の5試合を負傷欠場した間、昨年までのレギュラー、マーク・マムパッシが奮闘した。そして最終節のアンデルレヒト戦で1-0の勝利を収め、ようやくコルトレイクは最下位を脱出し、プレーオフに残留の望みを繋いだ。 しかし、この試合の後半、角田が負傷退場しシーズンを棒に振る痛手もあった。ともかく藤井、角田が来るまで20試合勝点わずか10のチームが、10試合だけで勝点14を奪うチームに変貌した。 藤井はプレーダウン(1部残留争いのプレーオフ)の途中から戦列に復帰。この最終節でRWDMがオイペンに負けたことで、コルトレイクは辛うじて自動降格を免れた。そしてロンメル(2部リーグ)との入れ替え決定戦を延長戦の末、2試合合計5-2で勝ち切り、奇跡の1部残留を果たした。アレクサンダーソン監督の手腕、冬の市場の藤井、角田の獲得はコルトレイク1部残留の大きな要因になった。 「自分が入ってから4戦負けなしで続いて、チームが『ちょっと行けるんじゃないか』という雰囲気がありました。最後はかなり他力本願になりましたが、そこは本当に『スーパーな可能性』に賭けて、しっかり信じてやった結果が出ました。ベルギーに来たときは正直、僕も半々よりちょっと残留できたら良いなという気持ちでした。その目標のひとつを達成できて良かったです。サポーターがすごく喜んでくれました。 チームとして結果をひとつ残すことができたのは僕にとっても自信になりました。昨季の積み重ねがあって今季があり、良いサッカーができていると思います。それをもっと積み重ねて、今季は残留争いにならないよう結果を出していきたいです」 6月、コルトレイクへの完全移籍が発表された藤井は、今夏チームに加わったMF高嶺朋樹、FW金子拓郎に「もっといいボールを配球して、彼らの良さを引き出してあげたい」と2人への後方支援を誓い、「チームの後ろにいるのでリーダーシップも求められる。英語をもっと伸ばしていきたい」と主力としての自覚も十分だ。 断トツ最下位だったチームの守備改善にひと役買い、1部残留という不可能を可能にしたからこそ、藤井のプレーには本来のクレバーな守備とは異なる性質の落ち着きが漂っているのかもしれない。まだ23歳。これからが楽しみな成長株だ。 取材・文●中田 徹
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